『わーすと☆コンタクト ~死神彼女と宇宙人~』レビュー

"スーズリー、スリナターリー♪ リーリラーメーラーリー♪"

点数サークルプレイ時間
85点non color約8時間
シナリオ
はと
原画
ひずみ、トシナヲ、七条貞之
紹介サイト
わーすと☆コンタクト ~死神彼女と宇宙人~
備考
 


幼馴染の美少女が死神という時点で何か一つ物語が転がりそうな予感を覚えるが、その何かが始まる前に宇宙人にキャトられてしまう――何というか、そんなあらすじ。

本作一番のアピールポイントは何と言ってもテンポの良く斉射される不条理ギャグのマシンガンでもってプレイヤーの腹筋を破壊し尽くす点だろう。その不条理さたるや、説明しなくても上記のあらすじでだいたい理解いただけるかと思うが、痛快なまでに突飛な展開にまるで理解が追いつかない。

その何でもありな不条理っぷりは各キャラクターの個性にも反映されている。やや電波言動気味な寡黙で巨乳な死神っ娘の神奈川花奈多。会話が成立しないどころかもはや会話の暴力と化している宇宙人っ娘のサラサ。ある意味万能すぎて理不尽な宇宙メイドっ娘のルゥルッパル。そして早口スキル持ちのツッコミ役、義妹っ娘の高田ミサキ

とりわけサラサと主人公のコンビには笑い殺されかけた。まるでコミュニケーションを通わせられない地球人と宇宙人の図というワンシチュエーションでここまで笑わせてくるかという嬉しい驚き(そして腹筋の痛み)。

加えてヒロインたち以外にも個性全開大爆発なサブキャラ勢が大挙として登場しては少ない出番の中でその存在をアピールしてくる。有象無象と侮る無かれ、彼ら彼女らとコンタクトする度に強烈な印象を植え付けられることは間違いないだろう。

そんなキャラクターたちが織りなす不条理劇の果て。死神と宇宙人というハチャメチャな設定と、主人公が内に抱えたトラウマ――それらを柔軟な言葉遊びでもって上手くまとめ上げて、どこか余韻の残る結末へと誘うライターの筆力には非凡なものを感じた。

賑やかなテキストに負けまいと、視覚的な演出にも力が入っている。個性的過ぎるキャラクターデザインや背景のそこここに仕込まれたギミックが本作のシュールな笑いを支えているのは間違いない。

豊富なキャラ数でありながら、主人公以外の全てのキャラクターに用意されている声にも注目。特にサラサの絶妙にいい加減な日本語を絶妙に怪しいイントネーションで演じきった散花千鶴が素晴らしい。

そして個人的に驚いたのはシステムの充実っぷり。同人作品でありながらまるで商業作品に引けを取らない。割とどうでもいいディテールだが、各キャラクターのボイステストが10パターンくらい用意されているのには思わずアホかと笑ってしまった。

死神に命を狙われて、宇宙人にはキャトられて。メイドは理不尽で妹は面倒臭い。そんな最悪な夏を笑い飛ばさんと奇抜なテキストが盛り上げる。不条理で不条理な不条理さを許容できるならば、ナスとキュウリこそが実は真のヒロインなのではと疑いたくなる『わーすと☆コンタクト』を強く推したい。

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