『クロノベルト -あやかしびと&BulletButlers クロスオーバーディスク-』レビュー

点数ブランドプレイ時間
70点propeller約20時間
シナリオ
東出祐一郎
原画
中央東口
紹介サイト
propeller OFFICIAL WEBSITE
備考
・『あやかしびと』と『Bullet Butlers』のファンディスク


エロゲがエロゲたる由縁はつまるところエロの存在にあり、それが男性向けならば美少女を目当てに楽しむことが自然である。しかし本作はダンディな男性キャラがこれでもかと活躍しまくり、大多数のユーザーもそれを歓迎しちゃっているというなんともこじれたファンディスクだ。

本作は『クロノベルト -あやかしびと&BulletButlers クロスオーバーディスク-』のタイトルどおり、『あやかしびと』『BulletButlers』、両タイトルのキャラクターたちが一つの物語上で相まみえる豪華な一作。当然ながらこの両作品をプレイしていない人は置いてけぼりを食らうことが確実なので、まずはこれらをプレイ済みであることが前提条件だ。

ではその前提条件をクリアしていれば本作を楽しめるかというと、まず間違いなく一定の満足感は得られる。両作のキャラクターたちによる日常シーン、感動ドラマ、そして混じり交わるバトル・バトル・バトル! 脚本の出来栄えは元の二作に負けず劣らずの高いクオリティを維持している。

本作は次の三編で構成されている。九鬼耀鋼が復讐の完遂を果たすべくゴルトロックへと向かう『復讐するは神になし』編。アルフレッド・アロースミスが自らが失ったものを見つけ出すべく神沢学園生徒会の手伝いをする『かりそめの旅人たち』編。そして二作品の登場人物たちが、神沢市とオセロットシティが混ざり合った不思議な世界で殺しあう『クロノベルト』編。

あえてばっさりと分けるならば、シリアス重視の『復讐するは神になし』編と、コメディ重視の『かりそめの旅人たち』編と見なすこともできる。しかし元作品の方向性から予想がつく通りどちらも熱いバトルシーンが見せ場となっている。

そしてバトルものには強さ論争が付きもの。だから『あやかしびと』と『BulletButlers』の登場人物たちが戦ったらどうなるか――という誰もがたぎらせる妄想を、実際に殺し合いをさせるという悪趣味極まりない手法で展開する『クロノベルト』編はまさしくファンディスクらしいお祭り感のある物語である。

このクロスオーバーという荒唐無稽を実現するために新規の登場人物が追加されている。が、やはり元作品のキャラクターのファンこそが満足できるように役割を配置しているように感じた。とりわけ本作のキーパーソンを任される九鬼耀鋼およびアルフレッドのファンならば垂涎ものの一作といえるだろう。

逆に言えば、上記二人以外の活躍はあまり期待し過ぎないくらいで臨んだほうが吉。特に『あやかしびと』側のメインヒロインである如月すずの不遇っぷりは、元作に続いて狙ってるんじゃないかと疑うレベル。また他の人気キャラとしては加藤虎太郎レイスも未出演。彼らのファンには悲しい一作かもしれない。

BGMは両作品で使われているものをふんだんに再利用しており、感動のシーンでは『五位鷺』が、バトルシーンでは『Enemy Within(instrumental ver.)』が流れるというこの贅沢さ。

また、ファンディスクらしいおまけとして「人物事典」と「武器辞典」が収録されている。両世界観の確認と補完ができるという意味ではそこそこ需要はあるだろう。

最後に余談だが、新キャラ(実際には『BulletButlers』小説版にも出演していたが)であるマグダラの、ジョーカー的ポジションから揮われる極悪非道さとは裏腹な露出狂なロリっ娘具合(中央東口の描く貧乳は芸術)が素晴らしい。もっともっと、彼女に焦点を当てた後の展開が欲しい。てなワケでファンディスクのファンディスクを求む!

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