『せんすいぶ!』レビュー

"「潜水」ではなく戦水部!"

せんすいぶ!

せんすいぶ!

posted with amazlet at 16.09.14
エスクード (2013-06-28)
点数ブランドプレイ時間
70点Escu:de約35時間
シナリオ
村田咲人、にゃこ
原画
光姫満太郎、ここのか、〆鯖コハダ
紹介サイト
せんすいぶ!
備考
・ゲーム性(育成・戦略SLG)有り


水着少女に白い液体を合法的にぶっかけたい――そんな願望を叶えるべく、戦水なる架空競技まで作り上げてしまったリビドー全開な作品が本作『せんすいぶ!』だ。

戦水の基本的なルールは、魚雷型潜水艇マヴを駆り、白濁としたローションなどの特殊水撃を駆使して対戦相手をマヴから落とし撃墜するというもの。本作ではヒロインたちの育成要素と、戦水を模したSLGパートでもって、戦水を中心とした熱血スポ根青春物語を描く。

なんと言っても主人公である長谷見陸の設定がうまく効いている。戦水が男子禁制の競技と知らぬままにジュニアトップへと上り詰めてしまった伝説のプレイヤーという経歴があり、性別という理由で戦水から離れざるをえなかったという無念を抱えた熱い男である。

そんな彼をコーチとし、戦水に対して熱い想いを抱いた青崎学園戦水部のヒロインたちとの物語は王道に沿った展開でかなり面白い。ゲームパートとの兼ね合いという制限も加味すれば、シナリオの完成度は高いと言える。終盤以外は。

そう、物語終盤の展開が非常に勿体無いのだ。どのルートでも物語の最終目標は全国大会決勝戦<ヴァッサーグラール>での勝利にあるのだが、それまでの熱い西日本予選大会とは切り離された駆け足気味の展開のせいで締りが悪い。それが残念でしょうがなかった。

ゲーム要素に関して。パラメーターを伸ばす育成パートは作業感が強いが、一方でゲームの柱となるSLGパートの根幹はなかなか練られている。無敵移動ができる「潜水」コマンドによる刺し合いはユニークな戦略性を生んでいた。

その一方で敵AIの練り足らなさとゲームバランスの悪さが勿体無い。戦水のルール上、対戦相手のリーダーだけを撃墜すれば勝利となるため、敵AIの至らなさから考えなしに単騎突撃するリーダーはよい的となる。また各バトルスタイル毎に必殺技が用意されているのだが、一部スタイルの必殺技があまりに強力すぎるのがいただけない。

その辺りは二周目以降バトルスタイルを自主制限することで緩和されある程度長く楽しむこともできそうだが、一番苦戦する相手が特殊な条件下における人外というあたりに微妙な残念さが漂う。

また一度クリアしたSLGパートはスキップが可能だが、それでも育成パートでスキップが遮られるため、周回プレイ時のCG回収は面倒に感じた。

キャラクターはヒロイン勢はもちろん、サブキャラに至るまでキャラ立ちはかなり成功している。個人的には梅枝莉子々の一強だが、プレイヤー間で好きキャラの意見は大きく分かれそうだ。制作側では先輩キャラに当たる橋姫真麻を贔屓しているようで、共通ルートの出番から個別ルートのテキスト量に至るまで優遇されている。

エッチシーンは期待通りスク水に特化しており、各ヒロイン5枠のシーンのうち4つがスク水着用Hとなっている。しかしエッチシーンのフラグが育成要素と絡んでいるため、一周で攻略ヒロインの全シーンを回収できないのも周回プレイの面倒くささに拍車をかけてるように思う。

またスタッフが本作で一番やりたかったことであろう白い液体ぶっかけ云々だが、CGはよい出来なのに戦水シーン中で一瞬拝めるだけという仕様なのが解せない。大変解せない。今すぐ戦水シーン中のCG閲覧モード追加パッチを公開すべきだと声を大にしたい所存である。

以上より、発想やゲームの根幹部分は良いのだが、表面のところどころに目立つ欠点を抱えた一作となってしまった印象だ。

とはいえゲーム一周目のクリックする手がとめられない面白さは本物。スポ根&水着少女ぶっかけのコンセプトに惹かれるならば、体験版でゲームパートの感触を確かめた上でプレイすることをオススメしたい。


【積みゲー崩し日記リンク】

Share & Bookmark

あわせて読みたい