『闘神都市Ⅲ』レビュー

"戦闘システムに難あり"

闘神都市III 廉価版

闘神都市III 廉価版

posted with amazlet at 16.05.14
アリスソフト (2014-12-19)
点数ブランドプレイ時間
60点ALICE SOFT約35時間+α
シナリオ
ふみゃ、イマーム
原画
MIN-NARAKEN、むつみまさと、織音
紹介サイト
闘神都市Ⅲ
備考
・ゲーム性(RPG)有り


アリスソフトの人気RPGシリーズ『闘神都市』の三作目。私は本作がシリーズ初プレイだが、さすがに前作から14年の時を経ての発売というだけあって、前知識なしでも問題なくプレイできた。

表題にもなっている闘神都市を舞台に、闘神大会というトーナメント制の闘技会を中心として物語は進行する。闘神大会の優勝者には「闘神」の称号が与えられ、闘神区画での贅沢な生活を生涯保障されるという。

主人公・ナクトは、闘神大会に優勝して以来消息を絶った父親の行方を探すため、そして自らの力を試すために、幼馴染である羽純・フラメルをパートナーとして闘神大会にエントリーする。しかしナクトは知らなかった。闘神大会の試合に勝利した者は、対戦相手のパートナーを24時間のあいだ自由にできるというルールがあることを。

かくして、試合に勝てばエッチ、負ければ幼馴染が寝取られるという、エロゲー的に大変熱い舞台設定が用意された……のだが、残念ながらこの設定から自然に予想できそうな「燃え」をあまり感じられなかった。その原因は二つ。

第一に、他ヒロインたちがルールに従って当然のように公開レイプされるというハードな世界観を見せつけておきながら、実際に主人公が敗北したら何事もなく即タイトル画面に戻されるという点。このために羽純の貞操を守るためという「負けられない理由」が弱くなってしまっている。寝取られの嗜好問題や、対戦相手ごとにCG素材が必要になるなど、寝取られイベントが採用されなかった事情も理解はするが……。

第二に、普通にプレイしていたらまず負けることがないくらいにゲームの難易度が易し過ぎる点。基本的に「対戦相手の対策を講じることで強敵と対等に闘う」というパターンなのだが、その対策さえ成功してしまえば危なげなく勝ててしまうのでは物足りない。以上より、闘神大会の設定が思ったよりも「燃え」に直結しなかった。

とは言うものの、トーナメントバトルものというジャンルが根本的に持つ牽引力と、次第に謎めいた陰謀へと巻き込まれていくミステリー要素とが合わさって、脚本の出来自体は悪くない。特に物語終盤は非常に燃える展開が用意されている。ただ、本筋にあまり絡まないサブキャライベントが長く続く中盤は結構だれるが……。

全体的な雰囲気としては、先述した通りのハードな展開に突入したと思えば、唐突にブラックユーモアの利いたアホなギャグを挟んできたりといった、アリスソフトのブランドカラーが前面に出ている。個人的には作中番組である『闘神ダイジェスト』のブラックな緩さにハマった。

ではRPGとしてはどうかと言うと、はっきり言って厳しい。規模の大きいゲームなので様々な要素が絡み合っているのだが、中でも面白さに直結する戦闘システムが失敗しているのが大きな問題だろう。

本作の戦闘システムは一対一のタイマン勝負で、自動的に時間が進行していく中でコマンドを選択し、攻撃やその他アクションを繰り出すというもの。しかし肝心のコマンドは数が少なく、有用なものも限られ、敵によって使い分けることもほとんど必要ない。自動的に繰り出される通常攻撃の合間に、強攻撃や、呪い解除を挟むくらいしかすることがない。

一応属性攻撃として魔法があるが、使用するデメリットが大きいため出し惜しみしてしまう。なので弱点を突くといったプレイングもほとんどすることがないし、それでも問題なく攻略を進められる。つまり、致命的なまでに戦略性に乏しく、どんな敵に対しても同じことを繰り返すだけの戦闘システムになってしまっているのだ。

このような残念な戦闘システムになってしまったのは、邪推するに「3Dの戦闘画面がやりたかった」という試みが失敗した結果なのではないかと思う。確かにリアルタイムでぬるぬる動く3Dで描画された敵キャラクターは、当時のエロゲー基準で見れば結構頑張っており、見た目に楽しい。そのビジュアル的なインパクトを活かしたいがための戦闘システムとして、リアルタイムで進行する製品版の形に落ち着いたと考える。どちらにせよ、もう少し面白くできなかったものかと残念に思う。

一方で他のゲームシステムとして、成長システムは悪くない。レベルや防具など定番のシステムに加え、本作ならではの成長システムとして付与システムがある。

付与システムとは主人公の剣に様々なアイテムを付与することで各種ステータスを底上げすることができるというもので、その成長効率は非常に高い。そのため付与の前後で格段に戦闘が楽になる体感を得られる。しかもこのゲームシステムが物語とリンクしている点も評価したい。

演出に関しては簡易アニメーションを用意したり、テキストの表示のしかたを変えたりなど、様々な工夫が見られる。特にデモムービーの使い方はこれ以上考えられないほどに的確。詳細はネタバレになるため伏せるが、このデモムービーは主題歌『get the regret over』のかっこよさと相まって、プレイ後しばらくは忘れられないだろう。

総じて見れば、ゲームの面白さの根幹である戦闘システムに致命的な欠点があるために、長大な物語に中だるみが生じてしまった作品となるだろうか。大規模な企画は、急所となる一点にほころびがあると脆く崩れるということを身にしみて感じる一作だった。

最後に。アザミ・クリケットの二つ目のエッチシーンは抜ける/抜けないに関わらずもう最高です。至高です。たまらんです。このシーンにだけは100点あげたい。

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