『淫辱選挙戦 ~白濁に染まる会長選~』レビュー

"スタッフロールで流れるデカすぎなタイトルロゴなんかも笑いどころよね"

淫辱選挙戦
淫辱選挙戦

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アンダームーン (2013-05-31)
点数ブランドプレイ時間
60点アンダームーン約10時間
シナリオ
よこよこ、平目カレイ、WAKOU
原画
一河のあ
紹介サイト
淫辱選挙戦 ~白濁に染まる会長選~ Officisal Web Site
備考
 

何かとジェンダー・フリーが叫ばれる昨今。男女平等の名のもとに、学園という閉じた世界の中で女子生徒の権利だけが年々強まっていった。女子生徒への優遇措置と既得権益にまみれた学園運営。しかし、そんな女尊男卑がまかり通るままにして良いのだろうか。歪なバランスを整え、真の男女平等を達成すべきではないのか。そんな決意を元に立ち上がった、一人の男がいた――。

なんて、ちょっとカッコイイ感じにあらすじを書いてみたものの、本作品の方向性はあくまで輪姦・乱交特化の凌辱系抜きゲーである。

通常の生徒会とは別に、男子生徒会と女子生徒会とが存在する学園。男子生徒会長である主人公は、ひょんなことから手に入れた不正の証拠を脅迫材料にし、女子生徒会を従わせることに成功する。間近に迫った生徒会選挙で女子生徒会を打倒するために、主人公は女子生徒会の面々の身体を男子生徒たちに抱かせることで票を集めようと、選挙活動を開始する。

凌辱対象であるヒロインは三人。
・学園理事長の孫にして正統派優等生の女子生徒会長である桐野 楓香
・元ヤンキーで武闘派の女子生徒会副会長である織緒 真希
・辛辣な毒舌家で知能派の女子生徒会書記兼会計である月見里 小鳥

本作の狙いは、つけあがった女子生徒会の面々を性的に、かつ政治的に屈服させるカタルシスをユーザーに提供することにある。それを実現するために、本作の所々にプレイヤーへの目配せ的なサービスが配置されているのだが、そのサービス精神が行き過ぎてゲームとしては少々おかしなことになっている

例えば、凌辱対象である各ヒロインへの憎悪を高めるためのシーンが序盤に多く配置されているのだが、それを際立たせるためなのか主人公の卑屈さ、孤独さを強調したテキストが笑いを誘う。加えて、周囲の倫理観が崩壊していく物語後半においても、生真面目な態度を崩さない主人公の言動には妙なおかしみが付きまとう。

また、行き過ぎた女尊男卑の風潮を正すという主人公の目的を納得させるためか、異様に豪華に描かれた女子生徒会室(バスルーム付き)には笑いを堪えることができなかった。狙いすまされた笑いなのかどうかは判断できないが、このなんとも言えないバカっぽさは個人的には加点ポイントだ。

では本作の肝であるエッチシーンを見てみよう。量的には、メインヒロインである楓香単体のものが全体の半分ほどを占める。もう半分を、残りの二人のヒロインと、ヒロイン複数人による乱交シーンとに充てられている。

全体的なシーンの傾向としては男多数でヒロインを攻める輪姦・乱交シーンが多い。しかし、主人公による調教を受ける楓香に関しては一対一のシーンも多い。輪姦や調教というワードからハードな印象を抱くかもしれないが、ヒロインが痛がったり嫌がったりする台詞は抑えられており、凌辱系の中ではマイルドな方だといえる。

痛がり&嫌がり描写が少ないということは、快楽に堕ちていく過程とギャップとを描くのが難しいということだ。本作ではある程度シチュエーションの工夫で挽回を図っているが、やはり即堕ち感は強い。特に、主人公による調教を受けない楓香以外の二人は、早々に身体で票を稼ぐという行為を受け入れているように見えてしまう。

当然、これらのハードな描写を抑えることで、凌辱系が苦手という方へのハードルを下げることには成功しているかもしれない。そういう意味では賛否の別れるポイントだろう。

ビジュアルに関して、凌辱系としては珍しく透明感のある塗りで美しさを感じる一枚絵が多い。それに合わせてか、卑語を含む下品な台詞や、アヘ顔などといったエクストリームな表現も皆無となっている。この点からも、どちらかと言えば凌辱系ビギナーに狙いを定めた作品だといえるだろう。

個人的にツボに来たシチュエーションを挙げよう。生活指導の先生を買収するため、彼を敬愛する真希にソーププレイを仕掛けさせるシーンでは、真希が抱いていた想いがスケベ心を前に挫かれるようで素晴らしい。クラスメイトにたちによってスク水姿で犯される小鳥のシーンでは、調子に乗ったクラスメイトたちの言動と、それに対して毒舌をかます小鳥という関係が面白い。どのヒロインにも、1シーンくらいは使えるシチュエーションが見つけられるだろう。

声優に関して少々。メインヒロイン役の芹園みやと比較すると、サブヒロインを務める二者はテクニック的に劣るところが耳につく。しかし、キャラクターの性格と声質とがマッチしているとフォローはしておきたい。

総合すると、ダークな雰囲気を感じさせておきながら、ちょっと突き抜けたバカさ加減がところどころに見られる変なバランスの凌辱ゲーとなるだろうか。念のために、輪姦・乱交が好きならば十分実用に耐えるクオリティであると保証するが、一方で、どうしてもヌキ以外のところに注目してしまう損な(得な?)作品だと言えるだろう。

最後にこれは余談だが、とあるシーンで不良キャラはみんなアゴヒゲ装備というアホさには思わずずっこけた。この自覚的なのか無自覚的なのかもわからない、なんとも言えぬマヌケさは、ある意味で本作を象徴したシーンかもしれない。

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