『LOVELY×CATION2』レビュー

"恋に落ちるプロセス"

点数ブランドプレイ時間
85点hibiki works約30時間+α
シナリオ
insider
原画
唯々月たすく
紹介サイト
LOVELY×CATION2 Official WebSite
備考
・ゲーム性(SLG)有り
・アペンド要素「アペンドライフシステム」有り


主人公ではなくプレイヤーが、モニターの向こう側のカノジョと恋愛する――そんなコンセプトをベースに作られた『LOVELY×CATION』シリーズの二作目。二作目ではあるが、あくまでコンセプトを踏襲しているという意味での続編なので、本作からプレイし始めてもまったく問題ない(実際に私がこのパターン)。

本作の評価に関してまずは結論から。本作は、上記のコンセプトを徹底追求した作品であるため、これにノレるかどうかという面が大きいことは間違いない。しかし、このコンセプトが非常に高いレベルで達成されているため、ノレた人には忘れられない作品に、ノレなかった人でもある程度は感心させられるレベルの作品になっている。

では、このコンセプトを体現するために本作ではどんな工夫が凝らされているか。端的に言えば、洗練された物量作戦である。コンセプトが要求する物珍しいシステムやギミックを数多く試し、その多くを成功させている。以下ではそれらのシステムを紹介しよう。

第一に、ラブリーコールシステム。これはカノジョたちからの呼ばれ方(ボイス込み)を何百種類もある中から選べるというもので、本シリーズのコンセプトの中核をなすシステムといえる。この大変なコストが想像される物量作戦的なシステムが、ゲームのあちら側と、現実のこちら側とを「名前で呼ばれる」ことでもって繋げる役目を果たす。

第二に、趣味同調システム。これは広い意味でゲーム形式のことを指し、少し懐かしい感じのマップ移動型の恋愛シミュレーションゲームの体をとっている。日々の移動先によってアイテムの入手とステータスの上昇が生じるという内容で、カノジョの気を引けるようにプレイヤーが行動を選択していくうちに、主人公の性質や趣味趣向が形成されていく。その結果、プレイヤーと主人公との同一化を押し進めることに貢献している。

第三に、ラブリーショットイベント。これはイベント中に主人公がスマホのカメラを構え、カノジョを撮影するというものだが、その際にQRコードが表示されてイベントCGをダウンロードできるようになっている。ゲーム内のイベントを、現実の携帯端末に持ち込むことができるということで、空間的にも時間的にも、現実世界にゲームの世界観をプラスする拡張機能として、このギミックは面白いと感じた。

最後に、アペンドライフシステム。本編後の追加シナリオを毎月、一年かけて公開していくというもので、通常のFDでは味わえないカノジョたちとのリアルタイムな月日の積み重ねを演出する。現在はすでに全てのアペンドが公開されているので一気にプレイすることもできるが、私はコンセプトに従って一年かけてプレイしようと思っている。従って、本レビューではアペンドの中身に触れていない。あしからず。

続いて、これらのシステムとは別の工夫点として、ストーリ性の薄さに注目したい。これは貶しているのではなく、「主人公」と「ヒロイン」とを特別な存在にしてしまうようなストーリーを敢えて避け、もっと素朴で、どこにでもあるような恋愛物語を描くことに徹しているということ。

シナリオに関して特に感心したのが、カノジョたちの家庭内の問題をさり気なく提示しているところだ。よく出来た姉に対するコンプレックスや、幼き日に亡くした母親などといったエピソードを決して物語の主軸には持っていかない。あくまで主軸はカノジョたちと恋愛することであり、これらのエピソードはまさに“今”のカノジョたちを構成する一要素として話題に出すに留めている。だからこそ、カノジョたちの存在がよりリアルに感じられる。このバランス感覚は素晴らしい。

以上のように、本作では周到に用意されたシステムやギミックでもって「プレイヤーが、カノジョと恋愛する」というゲーム体験を提供してくれる。では、お相手となるカノジョはというと……これをテキストだけで表現しても詮ないので、公式サイトでカノジョたちの魅力を確認していただきたい。

一点だけ言及するならば、カノジョの性格や作中雰囲気に関しては、できるだけネガティブな要素を排する方向性で創られている、とだけ。ストーリー性で魅せるタイプのゲームではないことからも、このバランスは妥当といえるだろう。

ビジュアル面では、人気原画家唯々月たすくの、萌えっとしていながらも等身が少し高めで、どこか現実味のあるキャラクター造形が作品のコンセプトにドンピシャリ。どの一枚絵を見ても崩れの見られない画力には眼を見張るものがある。

それに関連して、どのルートにおいても少なくとも一回は、一枚絵や立ち絵に一工夫を加えることで、これまで見たことのないような画面演出に挑戦している点には好感をもった。特に分かりやすいところでは、日向ルートでのイベント自動早回しが挙げられるだろう。これらは是非、プレイして発見・体験していただきたい。

他者を好きになるプロセスは、コミュニケーションを重ねて、相手の内にある世界観を少しずつ発見していくことで進行する。その人の生き方、考え方、趣味趣向……それらを理解し、惹かれることで、人は恋に落ちてしまう。本作では、「主人公」と「ヒロイン」の恋愛をただ見守るのではなく、「プレイヤー」が自ら行動して「カノジョ」が内側に秘めた世界観を発見していくプロセスを楽しめる。だからこそ、真に迫ってカノジョに恋することもできる。

カノジョと恋をする。恋したカノジョとエッチする。こうして得られる多幸感は、エロゲーという娯楽が最も得意とするところだ。本作のエッチシーンでは積極的にプレイヤーを気持よくしたいというカノジョたちの健気な姿に、絵の美麗さもあってかなり満足できた。最高クラスに幸福感に溢れた自慰ができたという点からも、私は本作を傑作だと断言したい。

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