【ネタバレ有り】この感覚を喩えるならば – 『スマガ』をプレイ2

はじめに

「Sad Mad Good-bay」エンドを迎えた。
この調子でひとつのエンディングに到達するたびにブログ記事を書いていたらいつまで経ってもゲームが終わる気がしないのだが、このルートが面白すぎるのが悪いのだ。

まるで続編映画のようで

「She May Go」エンドから一転、「Sad Mad Good-bye」ではますます混乱を極めたストーリー展開を見せる。

「人生リベンジ」能力に限界が見え、翻ってうんこマンを苦しめ始めるのだ。それでも沖や宮本といったサブキャラの活躍もあって再起したうんこマンは、今度は悪魔となってカルデアやセカイと敵対することとなる。
スピカと同じく、そのセカイにおいて運命的な不幸を抱えたガーネット。彼女の幸福を賭けた大勝負は「She May Go」にはない、主人公のバトルにおける活躍も用意された燃え展開だ。
そしてついに、行き着くところまで行き着いた。セカイの秘密、特に原器(アルマゲスト)の一端を垣間見たのだ†01

この流れを前にして、まるで続編映画のようだと感じた。
一度は切ないながらも綺麗な幕切れを迎えた物語(「She May Go」)。それを踏まえた続編(「Sad Mad Good-bye」)はよく見知った者たち†02による、よく見知った展開を見せるものの、それが少しずつ様相が異なっていき、はじめは隠されていた秘密が次々と明かされていく。今度は明るみに出されたその秘密へと軸足を移し、中盤からは思いもよらなかった方向へと物語が歩みはじめる。
前作を踏まえた展開が反転し、ダークな物語に突入していく二作目。そんな映画は色々あるが、時間にまつわる能力が主人公たちに悪影響を及ぼしてしまうという共通点から『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』が一番近いだろうか。

『スマガ PART2』。うん、それっぽい。

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そして実況プレイのような

プレイ中にメモ的に記したツイートを転載。

ここでは「実況プレイ」と表現しているが、つまりは『スマガ』をプレイしているプレイヤーと、『スマガ』の主人公であるうんこマンとの距離感のお話である。

たとえ物語がはじめに戻っても、うんこマンは人生リベンジ能力でもって前のルートの記憶を維持している。
ゲームを先に進めようとフラグが立っているガーネットに近づこうとするプレイヤーと、前ルートに固執してスピカの気を引こうとするうんこマンとの乖離。物語をメタな立場から傍観するプレイヤーは、フラグの立っていないスピカに近づくのは悪手であると理解し、そんなことにも気づかずに自爆を繰り返すうんこマンとの間の溝が広がっていく。

うんこマンとのこの距離感をプレイヤーと共有する存在として神様たちがいる。
神様たちも伊都夏市で展開される魔女と悪魔の戦いの物語に介入できず、ただ死んで天国に送られてきたうんこマンを再び伊都夏市へと送り返すことしかできない。
そんな神様たちもはっきりと、主人公であるうんこマンが頑張る姿を目にして(視聴して)好感を持ち、応援したくなってきたと明言する。

ただ一点、プレイヤーと神様の間にははっきりとした違いがある。
プレイヤーは選択肢を選ぶという役割を担わされる。実況プレイという比喩に則れば、それは指示コメントと置き換えられようか。
そういう意味では神様たち以上にうんこマンに近い立場であり、更に言えばプレイヤーすらも『スマガ』というエンターテイメントを駆動する歯車の一部であり、完全な傍観者とは言えなくなる。
だとすれば、実は神様たちから我々プレイヤーも観察されているのでは? 実は「Sad Mad Good-bye」の中でも明らかに神様がプレイヤーに対して語りかけるシーンがあったりする。
このあと一体どれくらい、私はこの『スマガ』に巻き込まれることになるのだろう?

まあ今は、あまりそういうメタメタしいことは考えずに、うんこマンに対してやいのやいの言いながら、とにかくスピカを幸せにしたいと願うばかりである。

おわりに

そろそろ中盤。秘密も開示され始め、次第に答え合わせフェーズに入っていくのだろうか。
もちろん、原器の秘密が明かされると引き換えに増えた謎もある。ならば次の謎について明かされる前に一度考えをまとめたいところだが、やはり一つのエンディングを迎える度にいちいち記事を投稿していたらマジでゲームが終わらないのでここはぐっと我慢して進められればいいなあ。

もしも我慢できなかったら語りを誘発しすぎやがる『スマガ』が悪いということで。


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脚注

脚注
01余談だが、原器の力によって実現した「Sad Mad Good-bye」の最終幕にて展開される捏造されたセカイに『斬魔大聖デモンベイン』のバッドエンドを思い浮かべたのは私だけではないはず。
02地味な褒めポイントだが、テコ入れ的に新規キャラを投入することなく前ルートと同じ人物たちが異なる関係性を築くことで異なる物語を転がすことに成功している点を高く評価したい。
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