『円交少女2 ~JKアイドル真鈴の場合~』レビュー

"2500円で買える、少女の半生を覗き見る権利"

点数ブランドプレイ時間
95点Frill約5時間
シナリオ
丘野塔也、若林浩太郎、瑞守ねおん
原画
恋泉天音
紹介サイト
円交少女2 ~JKアイドル真鈴の場合~|Frill official website
備考
・2015年5月29日発売『円交少女 ~陸上部ゆっきーの場合~』の続編

前提条件

本作は女性主人公による(広い意味での)援助交際を題材とした低価格シリーズ『円交少女』の二作目。前作から実に2年半ぶりの続編だ。

主人公を新キャラクターに交代しつつ、サブキャラクターであるマコさんこと美月真子を前作から踏襲するというタイプの続編で、この二作目からでも比較的入りやすい作りと言える。
もちろん前作をプレイしたからこそ楽しめる要素もあるのだが、どうしても今作のヒロインのほうが気になるというならば後から前作を追いかけてもよいだろう。

あらすじ

ジュニアアイドル・黒川真鈴は18歳の誕生日を迎える。
若さという武器を失っていくアイドルはただ落ちていくだけだ。

新たな若手の登場に焦燥する真鈴は、かつて見下しの対象であったが着実にメジャー路線を走る先輩アイドルの伊野友加里からの紹介もあり、悪い評判が囁かれる大手事務所への移籍を決意する。
そこで回される仕事はいままでのグラビアよりもずっと過激な汚れ仕事ばかりで、個別撮影会ではファンのオタクに目の前でシコられる有様。そんな中、何とか大物業界人と接近する機会を得た真鈴は、彼とのコネを持つために枕営業をする決意を固める。

そうして一線を超えてから、真鈴の周りに醜悪な男たちが群がり始める。しかし、そんな男たちを利用する術を覚えた真鈴は枕営業を駆使してアイドル業を軌道に乗せていく。

止める手段を失い暴走していく真鈴の枕営業は、いったい彼女をどこへ連れて行くのか。

枕営業という援助交際

本作は低価格の抜きゲーらしく、シナリオがある境を越えると怒涛のエッチシーンの連打が始まる。
もちろん、おいしいエッチシーンが提示されたら抜くのが人情と股からブツを取り出すのもまた良しなのだが、そのエッチシーン自体が面白いというのがこのシリーズの特徴だ。

今作では枕営業という体裁をしているだけにその面白さの構造が前作以上に分かりやすい。
真鈴は醜悪な男たちを相手に自らの肉体を差し出し、代わりにコネや推しといった対価を受け取る。
そもそも援助交際とはそういうものなのだが、今作の多くのエッチシーンはある種の取引として読むことができる。真鈴も相手の男も自分の利益を最大化しようとマウントポジションの取り合いを繰り広げるのだ。

そして、媚びた言葉で相手を悦ばせることが真鈴にとって利益を最大化する戦略であることから、Frill作品の特徴である作り込まれたエッチシーンでの台詞回しにも違和感がない。ここも巧いポイントだ。

そしてアイドル・黒川真鈴のファンとなる

Frill作品の特徴として、エロCG集風に右から左へと順に表示される吹き出しにテキストを載せるバルーンウィンドウモードが挙げられる。
この画面構成はプレイヤーが主人公である真鈴を三人称視点で見ている感覚を増幅させる。加えて、選択肢のない本作では、プレイヤーは真鈴の内面も含めてただ覗き見ることだけしかできない。

枕営業に励むアイドルキャラクターをモニター越しに覗き見るプレイヤーという構図は、それだけで寝取られ的な想像力が働く。
色々な男を相手に囁く媚びた台詞。その合間に挟み込まれる真鈴のキツい本音が、演じる永瀬蜜柑さんの声色の使い分けの巧みさもあって覗き見る我々に突き刺さる。

バカな男を手玉に取り、ライバルたちを蹴落として、身体を壊してでも枕営業を仕掛けてトップアイドルへの道を駆け抜ける真鈴の姿は、悲哀とともに黒い爽快感がある。
いつでも隣で彼女の行為を覗く我々はこのギリギリの綱渡りを続ける真鈴の成り上がり劇の果てに待つであろう展開にハラハラしつつ、期待もしてしまう。

もしも、その過程でうっかり彼女のファンになってしまったら。
最後のエッチシーンは間違いなく強烈に突き刺さることだろう。

総評

援助交際というFrillのブランドカラーとマッチした題材選びに成功し、低価格ソフトという形式の上で攻めの姿勢で展開した『円交少女』シリーズは、二作目にして分かりやすい傑作を生み出した。

芸能界というきらびやかな世界の裏で繰り広げられる枕営業。
一人のアイドルが抜きゲーヒロインとして生きる、その半生を覗き見る権利を得るために援助(=ゲームの購入)をした我々プレイヤーこそが彼女にとっての一番のお得意様であり、そして彼女を最も苦しめる醜悪な男たちの筆頭なのかもしれない……そんな妄想に思いが至ってしまう。
このモヤモヤとした黒い感情が、インスタントな抜きゲーでは得難い調味料として機能する。

簡単にまとめれば、「抜ける」し「面白い」。単純にして理想的なエロゲーだ。
しかも主人公でありヒロインであるアイドル・真鈴への思い入れが深まるほど、この二つの要素がどんどん重くなっていく。私にとっては結構な劇薬となった、強烈な一作である。

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