【ネタバレ有り】ジャスティス・コンプレックス – 『RIDDLE JOKER』をプレイ その2

はじめに

RIDDLE JOKER
RIDDLE JOKER

posted with amazlet at 18.05.02
ゆずソフト (2018-03-30)

というわけで『RIDDLE JOKER』の進捗。最初に攻略したのは二条院羽月ルートだ。
その結果は上記のツイートの通りなのだが、ずばり「嫌い」という感情を喚起させ、言葉として吐き出させるだけのパワーが有るのは間違いない。

脳内の「嫌いなルート」フォルダ†01参考までに、例えば『神聖にして侵すべからず』の実蒔希ルートや『いますぐお兄ちゃんに妹だっていいたい!』の奈々瀬奉莉ルートなどが保存されている。にばっちり保存した本ルートは、脳内ハードディスクの底で肥やしとなっている凡百のルートとは異なりいつでも取り出し可能で忘れることのできないルートとなりそうだ。

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私が嫌いと断じる羽月ルートの問題点はクライマックスにある。
しかし、主人公である在原暁とヒロインである二条院羽月というカップルのキャラクター性や、ルート途中に登場するモブキャラクターなどがうまく組み合わさることで不快なクライマックスに至るので、簡単に羽月ルートの物語を確認したい。

暁たちの住む寮の寮長を任される羽月は、水を操るアストラル能力を持つ。
実は暁とは幼少の頃にニアミスしており、アストラル能力者として迫害される日々の中でグレて喧嘩ばかりしていた暁はアストラル能力者への偏見を持つ大人たちに絡まれた羽月を助けていたというエピソードがある。
元より警察官の父親を持つ羽月は、幼少の頃に自分を救ってくれた男の子(=暁)を時代劇好きということもあって「白馬の将軍様」と心酔し、彼のように自分のアストラル能力で他者を救えるような人間になりたいと願い、強い責任感と正義感を持つ真っ直ぐな少女に育つ。

ところで、街では水に関するイタズラ事件が連続し、暁はそれを調査することとなる。
その過程で羽月と急接近し、ついに羽月から告白される。

しかし暁は裏世界の仕事に携わる秘匿組織のエージェント。
対して羽月は警視監の娘。身元がバレるわけにはいかない。

故に一度は保留にするも、羽月に対する想いが止められない暁。
そんな暁はメインヒロインの一人であるあやせや、仕事の上司であり養父でもある隆之介に背中を押され、とうとう二人は恋人となる。

とは言え相変わらずその正体は隠し続けなければならない暁は、羽月自身にも魔の手が伸び始めたイタズラ事件の調査のために羽月に対して小さな嘘を重ねていき、そのことに罪悪感を覚えていく。
そしてついに、学院の監視カメラの映像データの吸い上げ任務中という決定的な瞬間を羽月に目撃されてしまう。正義感の強い羽月はそこで暁を突き放すも、しかし学院にそのことを報告できずにいた。

18歳以上になったのだからお説教はもうたくさんだ

さて、問題のクライマックスだ。

イタズラ事件の犯人が気圧操作のアストラル能力を持つ木戸直樹であると特定した暁は二度と事件を起こさせないよう木戸にお仕置きを仕掛けに行く。そこで一度は彼を逃がすも最終的には学院の屋内プールへと追い詰める。
そこで木戸は自分の境遇と羽月への恨みを語る。

アストラル能力者である木戸はその能力を父親に利用され、幼少より犯罪の片棒を担がされていた。
逮捕された木戸父子。能力者というだけで偏見の目で見られ、父親に脅されていたと供述するも無視され、共犯者として送検されてしまう。
この経験をきっかけにグレて、警察への恨みを抱いた木戸の憎悪は警察官の娘である羽月へと向かい、あたかも水の能力者の犯行であるかのように見せかけたイタズラを繰り返した……というのが一連のイタズラ事件の動機である。

私が鼻血を吹き出すほど嫌悪したのはそんな木戸の供述に対する暁の返しである。引用しよう。

「違うな。お前が勝手に下に降りていって、上にいる人間を下から見上げている。それだけのことだろ」

「お前がこの学院に連れて来られた理由は、たしかに客寄せパンダと同じかもしれない」
「だが、それがどうした?」
「だったら逆に学院を利用すればいい。自分が幸せになるために利用してやればいいんだ」
「なのにお前ときたら、拗ねてコソコソ隠れて、ムカつくやつにイタズラをして回っているだけ」
「どれだけ意気地なしなんだよ」

「お前が日陰にいるのはな、お前がそこにいることを選んでいるからだ」
「日の当たるところに出るのが怖いからって、日の当たるところにいる人間を逆恨みするな」

こんなことを光学ステルス迷彩で姿を隠した卑怯者に言われて思わず「お前に何がわかるッ!!」とお約束の台詞を返す木戸。きっとこの瞬間に何を感じるかがこのクライマックスに嫌悪するか否かの分水嶺となるだろう。では私はこのシーンでどう感じたかというと、やはり木戸を応援せずにはいられなくなったのだ。

私は根暗である。今風に言えば陰キャだ。非モテだ。周りからはいつも下を向いていると思われているかもしれない。上を向くのはエロゲーをプレイするモニタを前にしたときだけかもしれない。
周囲の人間は基本見下しているし、いわゆるリア充などに自分を分かった気になどされたくないし、貶めてやりたい不幸にしたい果ては殺してやりたいという感情を抱くことだってしょっちゅうである。
確かに日の当たる世界への憧れはあるかもしれないが、諦めもある。できるだけ身を引いて、目立つこともせず、大好きなエロゲーで欲求を満たしている。満たせている。

対して暁よ、お前はどうだ。
アストラル能力者として迫害を受けていたお前は、しかし里親に恵まれ、仲間に恵まれ、恋人に恵まれ……そして今、エロゲー主人公として私に観察されている。
私が『RIDDLE JOKER』というアプリケーションをkillすれば、夢のように消えてしまう。そんな瑣末な存在のくせに、この私に説教垂れようというのか。

認めない。私は自分がバカだとは認めない。
女とくっついて何か解決した気になるリア充の理屈なんか受け入れない。
夢現一如(ワンダフルワールド)。夢はここにある。

このエロゲーで、夢を現実にする! ――最高のハーレムを築き上げる(カモン・パラダイス)!

何者でもない存在のためにエロゲーはある(アイ・ワールド)!!

……私の嫌悪はつまるところ、次に尽きる。
リア充・非リア問題というデリケートな題材を、こんなにもデリカシーのない手つきで扱われ、しかもエロゲーという非モテ寄り文化の媒体でリア充側の論理こそが圧倒的な正義であるとお説教されてはかなわない、ということだ。

問題作『ウィザーズコンプレックス』における鳴ルートの再来である†02リンク先の記事を読んでいただければわかるが、上記のポエティックな太字ネタは『ウィザーズコンプレックス』鳴ルートでの台詞を改変したものである。

このシナリオを書き下ろしたライターはこの展開でユーザーが暁の側に付くと考えていたのだろうか。
いつでも前を向き、卑屈にならず、日の当たるところにいることが正義であるという考えにその通りだと同調し、そんな彼らを僻むような存在は絶対的に間違っているとお説教する姿を何の疑いも抱かず肯定するだろうという自信があったのだろうか。
その真意は分からないが、もしもそんな人間が多数派であるならばこんなにも生きにくい世界はない。だからひどく私の神経を逆なでする。忌々しい限りだ。

プレイヤーはいつも主人公にヒロインを寝取られる

以上が本記事で書きたかったメインテーマなので以下は余談。とはいっても忌々しさは増幅されるが。

もちろん私はぽっと出の小悪党である木戸に全幅の感情移入などしたりはしない。しかし、暁か木戸かと言われれば、やはり木戸寄りの人間であるのは間違いない。

上記の展開のあとは、遅れてやってきた我らがヒロイン羽月とのオマヌケな問答があり、羽月にお前の行動には一片の正義もないと一喝され彼女のアストラル能力で成敗される。

そうして木戸≒私が成敗された直後の屋内プールで暁と羽月は行為に至る。びしょ濡れのままパイズリ&騎乗位だ。しかし、怒りに震える私のチンコはもちろん萎え萎えである。一方でルサンチマンだけがムクムクである。

そしてトドメの後日談。

時は流れて一ヶ月後。羽月はカウンセラーと一緒に木戸と話をする機会を定期的に設け、その甲斐あって木戸は見違えるほど明るくなったという。
そして羽月の口から発せられる問題発言。

「最近彼女ができたらしくてな、色々と悩みもあるらしい」

じゃあどうすれば満足したの?

現実逃避ばかりしていても仕方がない。
最後におまけとして、この忌々しい物語が(私にとって)かろうじてマシになるための改善案を提言をしたい。

とりあえず、強い嫌悪感を催すリア充・非リア問題にヒロインである羽月を極力絡ませることなく処理したのは正しい判断だった。
その分すべての憎悪が主人公である暁に向くことになったわけだが、問題はその憎悪を跳ね除けるだけの主人公としての魅力が暁には欠けていたということだ。

もちろんそれだけ魅力的な主人公をそう毎回ポンポンと描けるならば誰も苦労しない。きっと根本部分から作り直さない限り、このシナリオでいくならば憎悪を跳ね除けるだけの魅力的な主人公として暁を描くのは不可能だろう。

しかし、小手先のテクニックで嫌悪感、不快感はある程度軽減させることができたと思うし、本作はそれを可能とする布石も打たれていた。
それは過去に暁がグレていたという設定だ。アストラル能力者として生まれ、迫害され、喧嘩を繰り返す日々――つまり、現在の木戸と同じようなことをしていた過去が暁にもあったのだ。

そこで、木戸との問答の中で暁が木戸のことを自らの鏡像――過去の自分、もしくは里親に恵まれなかったifの世界の自分――として捉え、少しでも寄り添うような姿が描写されたらどうだろう。
ベタではあるが一方的に木戸的な生き方を拒絶し説教垂れるよりかはずっと親近感を覚えるし、木戸的な側面が自らにもあると自覚する暁にならば木戸派の私にも感情移入する余地ができるというものだ。

まあ、私以外のいわゆる世間一般が暁のお説教に同調できるというのなら、現在のバージョンが正解ということになるだろう。
であれば私はそんなくそったれな世界を外に締め出してまた引きこもるだけである。

おわりに

私は今、世界でトップクラスにこの『RIDDLE JOKER』を楽しんでいる。そんな根拠のまるでない確信だけがある。

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ファーストインプレッション – 『RIDDLE JOKER』をプレイ その1

ウィザーズコンプレックス 初回限定版
ういんどみるOasis (2016-04-28)
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脚注   [ + ]

01. 参考までに、例えば『神聖にして侵すべからず』の実蒔希ルートや『いますぐお兄ちゃんに妹だっていいたい!』の奈々瀬奉莉ルートなどが保存されている。
02. リンク先の記事を読んでいただければわかるが、上記のポエティックな太字ネタは『ウィザーズコンプレックス』鳴ルートでの台詞を改変したものである。

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