『RIDDLE JOKER』レビュー

"ジョーカー(切り札)をいつ切るか"

RIDDLE JOKER
RIDDLE JOKER
posted with amazlet at 18.05.21
ゆずソフト (2018-03-30)
点数ブランドプレイ時間
60点ゆずソフト約30時間
シナリオ
天宮りつ、砥石大樹、保住圭
原画
むりりん、こぶいち、こもわた遙華(SD)
紹介サイト
RIDDLE JOKER リドルジョーカー OFFICIAL WEBSITE|ゆずソフト
備考
 

あらすじ

アストラルの発見により超能力の仕組みが解明された世界。
20年に及ぶアストラルの研究から産まれた多くの技術は人々の生活を便利にしたが、アストラルとリンクすることで超能力を操ることができるアストラル使いたちはその能力を持たない多数派から今なお偏見にさらされている。

主人公である在原暁と妹の在原七海は自らもアストラル使いであり、アストラル使いによる犯罪の抑止のために暗躍する政府直属の秘匿組織・情報局特別班の諜報員。
彼らに与えられた新たな任務はアストラル研究が盛んな鷲逗研究都市の橘花学院に転入生として潜入することだった。

無事、転入に成功した二人はすぐに学院に馴染み、新たな学友を得ながら着実に潜入任務を進行させていく。
しかし学生会長であり学院の顔でもある三司あやせが襲撃される現場に遭遇した暁はなんとか彼女を救い出すも、そのEカップの胸がパッドで盛られていたということを知ってしまい――。

異能学園モノ+学園潜入モノ

上記のあらすじからも分かるように、本作は異能学園モノと学園潜入モノの組み合わせから成る。

特に学園潜入要素は強めだ。
元より主人公の相棒である七海以外のルートでは諜報員である自らの正体を明かせない主人公とヒロインたちによるヤキモキしたやり取りと、正体がバレるかバレないかでハラハラさせるシーンに多めに尺が割かれている。

一方の異能学園要素はやや弱め。そもそもアストラル能力を用いたいわゆる異能バトル展開はかなり抑えめで、どちらかといえば「異能力を研究する場所」という特殊な舞台ならではのストーリー展開に力点を置いている。
異能力自体も真新しいものはなく、各ルートで気の利いた使われ方(エッチシーン含む)をするものもあるが「このキャラクターならではの能力」という風にヒロインと強く結びつけるような描き方はしていない。

そもそも作品全体の雰囲気ははっきりとコメディだ。あらすじでもオチに使ったパッドネタからブチ切れるあやせの毒づき芸はそれを演じる沢澤砂羽さんのコメディセンス溢れる声色の使い分けの巧みさもあって笑いを掻っ攫う。
他にはある事情により2年留年している先輩の式部茉優の年増自虐ネタなどヒロインのコンプレックスを刺激する類の笑いは総じて冴えており、かつそのコンプレックス自体をヒロインの魅力へと転換するところは巧みだ。

リッチ&快適プレイ

CG枚数の豊富さや声優の豪華さ、ルートごとに用意されたエンディングムービーなどといった表面的な部分については人気ブランドだけあり力が入っている。
ひとつの台詞の間でもそれに合わせてコロコロと表情とポーズが遷移していく立ち絵演出は手がかかっているだけの効果を上げており、画面を見ているだけで楽しい。

特筆すべきはやはり洗練されたシステム周りの快適さだ。
2010年台後半のエロゲーで見られる基本的な機能はまさに全部乗せ。
システム画面を開いたときの「好きにイジっちゃって(by七海)」「好きにイジっていいからね(by茉優)」といった意味深なシステムボイスに恥じないカスタマイズ性の高さは嬉しい。好きにイジっちゃったぜ。

本作の快適さを支えるのは基本的なシステムだけではない。
ストーリーをそれぞれチャプターに分割することで自由にジャンプできるフローチャート。
お楽しみ要素として、ボイス単位でお気に入り登録して視聴&シーンジャンプができるお気に入りボイス機能や、複数キャラを自由に並べて台詞編集までできる立ち絵鑑賞モードを用意。しかもそれぞれインターフェースが洗練されており使い方に迷うことなく遊び倒せる。

シナリオ面は課題が多い

ここまでお膳立が整いながらもプレイ中に感じる不満は多かった。
その原因は、主に次の二点からなるシナリオの作り込みの甘さにある。

第一に、設定の幼稚さが描写でカバーできていないという点。
主人公の「秘匿組織の諜報員」という基本設定が幼稚と感じるかどうかは人それぞれだとしても、その任務内容や組織の描写ははっきり言ってごっこ遊びのレベルだ。
例えば、政府直属のアストラル関連事件を専門とした諜報組織にも関わらずアストラル研究の触りすら把握できていなかったり、独断専行な主人公の行動がなあなあな処分で済まされたりといった危機管理意識の低さであったり、噴飯ものの描写が違和感を積もらせる。
もちろんシリアスに偏り過ぎずに安心してプレイできるライト寄りのチューニングを狙っているとは理解できるが、この手の設定や描写の甘さにより主人公やヒロインが間抜けで幼稚に見えてしまうのはマイナスだろう。

第二に、メインの謎解きが一部のルートに偏っているという点。
『RIDDLE JOKER』という意味深なタイトルや諜報員という主人公の設定、そして「全てを暴け――」という大仰なキャッチコピーが、橘花学院やアストラル能力者にまつわる謎を追うようなストーリー展開を期待させる。
しかし、共通ルートで張られた謎掛け的な伏線は大部分がセンターヒロインであるあやせルートで、残り一部は茉優ルートでのみ回収される。故に、ゲーム全体を見返したときに他の3ルートがどうも数合わせに感じられてしまう。
サブヒロインである壬生千咲ルートはともかくとしても、メインヒロインの一人である二条院羽月ルートはいよいよ本筋と関係のないストーリーの上に、本筋と関係ないが故にストーリーを動かす役割として新たに投入されたモブキャラクターに対する主人公の言動が個人的に本気で不快だったのが大きな減点ポイントだった。

総評

人気原画家のむりりんこぶいちによるビジュアル面の安定感と、旬をばっちり抑えた声優のキャスティングやシステム周りの作り込みなど表面的な作品クオリティの高さは間違いないが、その中でやはりシナリオの出来だけが追いつけていないといった印象だ。

とは言え謎解きの大部分を担うあやせルートについては伏線回収はもちろんのこと、あやせ自身が裏表のあるヒロインということもあり物語展開との親和性も高く頭一つ抜けた面白さだったりするので、決してストーリーを楽しませようという姿勢自体を投げている訳でないことは留意したい。

魅力的なヒロインとのイチャイチャについてはエッチシーンもメインヒロイン勢はそれぞれ5枠(その内2枠はエロ補完アフターストーリーというのは残念だが)と十分に数を揃えていることもあってもちろんそれなりに楽しめる。
故に、そのヒロインたちの魅力を更に活かせるシナリオ展開が用意できていればより一層にキャラクターへの愛着が深まる可能性があったと言えるだろう。

最後に、シナリオとエロの双方でこれっぽっちも活かされずに終わった七海のコスプレオタク設定が産まれた意味について思いを馳せずにはいられない。

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