『夏神』レビュー

"みだれ髪"

夏神 KAGUYAコレクション
アトリエかぐや(TEAM HEARTBEAT) (2009-01-23)
点数ブランドプレイ時間
65点アトリエかぐや約15時間
シナリオ
神無月二トロ、うつろあくた、もみあげルパンR、泉 教、速水漣、近江達裕、松山怜史
原画
M&M
紹介サイト
夏神
備考
 

和姦も、凌辱も。離島を舞台に、そこでひっそりと執り行われる淫習に巻き込まれる主人公とヒロインたちを描く一作。

幼き日に海難事故で両親を失った主人公・十河 陸が、幼なじみである高里 七瀬の父親により引き取られ、10年ぶりに生まれ故郷である潮見島へと帰ってくるところから物語は始まる。

本作はプロローグの段階で、ヒロインと食事をするシーンから、一転してモブキャラクターが三穴輪姦されるシーンへとジャンプするというアクロバティックな展開をみせる。この落差のあるシーンを序盤に示すことで、天国と地獄が薄皮一枚で隔たれた世界観であることをプレイヤーに意識させることに成功している。

その後も、楽しげな学園生活の合間に潮見島の伝承や、島の権力者たちを描くことで、物語中に嫌な予感を持続させている。その予感は選択肢を誤ることで、ヒロインが凌辱されるという形で具現化する。

念のため、攻略対象ヒロインの中では先輩キャラである加賀見 透子を除いて基本的に凌辱シーンを回避して最終ルートに至ることは可能だ。しかし、全エロシーン中で凌辱シーンは3分の1と多くを占めるため、あまり凌辱は見たくないという人には向いていない。ちなみに、透子が凌辱回避不可なのは彼女の危険に足を突っ込みたがるトラブルメイカー基質から致し方なし、と個人的には思う(笑)

凌辱シーンでは特に輪姦に力を入れており、複数の男に嬲られるヒロインの姿を楽しめる。また、作品の性質上バッドエンドに突入してからの凌辱なので、やや早急にクスリで快楽堕ちしてしまう傾向にある。本作ならではの味としては、主人公もクスリ漬けにされてしまい、その結果ヒロイン輪姦に嬉々として参加してしまうという悪趣味な展開が新鮮味もあって素晴らしい。

こうして見ると輪姦凌辱が目立つのだが、一方で、本作は主人公との和姦シーンにも十分に力を入れている。この傾向はサブヒロインにも言え、攻略対象ヒロイン4人・非攻略対象ヒロイン4人のそれぞれに最低1つは和姦シーンがあるというサービスぶりである。

個人的には、この過剰なサービス精神が本作の失敗ポイントだったように思う。一つのルート中で複数の女の子と関係を持つ主人公という違和感を払拭しきれておらず、エッチシーン導入の唐突さだけが際立ってしまっているようではせっかくのシーンでも盛り上がることができない。全体のバランスを考えるならば、やはりいくつかは凌辱要員とした方が収まりが良い作品となっただろう。

過剰なサービス精神といえば、最終ルートにおけるクライマックスに関しても言える。陰鬱さ漂う淫習ものから離れ、どこか幻想的な伝奇ものとしてのカラーが前面化する最終ルートでは、「そこまでやるか」と笑えるくらいに甘々過ぎるエンディングが展開される。ここは賛否が別れるポイントだろう。

以上より、淫習+伝奇のハイブリッドなシナリオに、和姦+輪姦凌辱のハイブリッドなエッチシーンを組み合わせた結果、やや中途半端な感じになった一作というのが総評となる。これらの要素の内、どれか一点だけを期待してプレイすると肩透かしを食らうだろう。薄味ながら、多彩な味が楽しめる作品としてプレイしていただきたい。

本作で一番の褒めポイントとなるのは、やはりM&Mが描く絵だろう。肉感表現に秀でたエッチシーン(特に凌辱シーン)のインパクトはもちろん、その淫靡さと同居する儚さが、エッチシーン以外の一枚絵で非常に効果的にシナリオを盛り上げている。

特に、淫習の巫女役というポジションである磯島 小夜歌のキャラクターデザインがその儚さとがっつりハマっており、印象的な一枚絵が数多くそろえられている。それもあって、個人的には小夜歌ルートが一番良い出来栄えだと感じた。

とりあえずしばらくは、小夜歌の輪姦凌辱ヘビロテで罪悪感オナニーを極めていきたい。


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積みゲー崩し日記『夏神』その1(前ブログ)

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