『Closed GAME』レビュー

"力の入れどころが変なゲームだが、少なくとも括約筋にだけは入れてない"

Closed GAME 初回限定版

Closed GAME 初回限定版

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Empress (2015-06-26)
点数ブランドプレイ時間
60点Empress約15時間
シナリオ
和泉万夜、八朔
原画
聖少女
紹介サイト
Closed GAME
備考
 


天然資源が枯渇し荒廃した地上と、技術力で死をも克服した空中都市カエルム・ウルブス。圧倒的な格差が実現した未来の地球を舞台に、クリアしたらカエルム・ウルブスで暮らすことを許可されるという謎のゲーム「Closed GAME」に招かれた登場人物たちが巻き込まれるデス・ゲームもの。と、思わせて……?

全4日間に渡る「Closed GAME」のルールは至極単純。参加者全員が協力して中空に浮かぶ広大なフィールドを探索し、その日の夕刻までにSafety Zoneを見つけることができたら参加者側の勝利。しかし、制限時間を超えてしまうと参加者たちの立つフィールド自体が切り離され、地上へと墜ちてゲーム主催者側の勝利となる。更に、フィールド内には様々なEnemyが徘徊し、ゲーム参加者たちに襲いかかる。

ゲーム主催者であるミチコ・ヴァルシーナセリーヌ・ヴァルシーナの母娘はこのゲームの様子をカエルム・ウルブス中に配信するのだが、視聴率を稼ごうと過剰にゲームを演出する。特に、死を克服したカエルム・ウルブスでは生殖行為が汚らわしいものとしてタブー視されているため、かえって格下である地上人たちが性的に酷い目に合う様にこそ好奇心を煽られる。……まさに、こんなゲームを購入しちゃうプレイヤーのように!

つまり、「Closed GAME」という番組ではゲームの参加者たちが性的に酷い目――レイプ、輪姦、異種姦――に合うようあらかじめ仕組まれているのだ。フェアなゲーム性なんて糞食らえ、お前らが見たいのはコレだろと、デス・ゲームとしての面白さを投げ打ってでも登場人物たちがひたすら酷い目に合う様を見せることに力を入れている。まるでヤラセ番組の手法だ。

以上より、デス・ゲームものとして本作に期待を寄せるのは100%間違っている。酷い目に遭いながらもゲームをクリアしていく主人公たちは最後の最後まですべてゲーム主催者の手のひらの上で踊らされているだけで、勝利のカタルシスも皆無だ。

加えて、世界観の提示の仕方にも疑問が残る。荒廃した地上でバウンティハンターとして生計を立てるメインヒロイン、セリシア・ロックハート露出全開(陰毛も見えてる!)な西部劇風ファッションで、私のようにボンクラツボな人にはたまらないデザインだ。

しかし、この衣装で犯されるシーンは一つも存在しない。「Closed GAME」中では服も銃も没収され、どのキャラクターも味気ないパワードスーツに着替えさせられたままエンディングまで進行するからだ。

この点からも見られるように、世界観設定が作中でまったく活かされていない。「圧倒的な格差が実現した世界」と聴いて真っ先に想像できそうな革命展開もない。「エッチシーンのための設定」と言い張るにしても、もう一工夫加えるだけで面白さがグッと上がりそうな要素が詰まっているのに、それを無視してしまうのは怠慢だ。

挙句の果てに、一部ルートにおいてまだ発生していないイベントがさも既に起こったことのように語られたりなど、明らかにプロットからシナリオに落とす段階で方向転換された形跡が見られることから、この題材を扱うには相当手に余ったことが窺える。

ここまで本作の欠点を並べて立ててみたが、しかし、本作は決してダメダメな失敗作とも言い切れない。その理由は、本作ならではの強烈な魅力もクリエイトできているからだ。

その魅力とはエッチシーンのハードコアっぷりである。手始めに、放尿・脱糞のスカトロプレイは全キャラ完備。一部キャラは更にその先にまで突っ走るエクストリームっぷりは高く評価したい。

また、先述したとおり「Closed GAME」は何でもありで、挑戦者は一度Enemyに捕らわれたが最後、凄惨な陵辱の限りを尽くされる。特に、「Closed GAME」一日目における最初の陵辱シーンでは「これもうBAD ENDでしょ」と思わせるレベルの凄惨さで掴みはバッチリ。

陵辱者であるEnemyたちは、ガスマスクをつけた全身ラバーの人型生物や、スライム男や巨大蜂などの異種生物が占め、まるで話が通じない。ヒロインたちのひぎぃ系一歩手前の絶叫喘ぎ声と、陵辱者たちの言葉ならざる喘ぎ声との二重奏が、シーンのハードコアっぷりと合わさって異常なハイテンションさを作り出している

更に、これらのエッチシーンを前にして「Closed GAME」進行役のセリーヌもオナニーしながら揶揄や煽りを飛ばす様が輪をかけてハイテンションで、しっかり抜けるレベルでエロいのに、同時に爆笑(あるいは呆然と)してしまうという凄まじい地点にまで到達している。

セリーヌのキャラクター性に関しては、シナリオがガタガタなため一貫性のない言動も見られるが、寧ろそこがセリーヌのサイコ性を引き立てており、制作者の意図以上に魅力的なキャラクターに仕上がっているように思う。CVのおか 梨衣菜の熱演もあって、間違いなく本作で一番輝いていた。彼女の言動に注目してプレイすれば、それだけで面白いことは保証できる。

本作の公式ページから予想できる作品の印象のなかで、プレイヤーを満足させてくれる要素は「エッチシーンのハードコアさ」しかないであろう。従って、聖少女の描く凄まじく存在感のある絵柄が好みで、かつ、ハードコアなエッチシーン以外を求めないのであれば、意外な飛距離を叩き出してくれるであろう一点突破な作品としてオススメしたい。

最後に、本作についてここは好き嫌いが分かれそうなところだが、よもやぶん投げたとも思われかねない異常な切れ味で物語を締めるスタイルについては評価したい。敬意を払って、本レビューも参考にしよう。

ぶっちゃけ、聖少女の個性的な絵柄が好きなら本作を買うだろうし、苦手なら絶対買わないだろうから、この記事いらなくね?

『Closed GAME』レビュー END

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