『めばえ』レビュー

"ノーオナニー、ノーライフ"

めばえ
めばえ

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たぬきそふと (2011-12-16)
点数ブランドプレイ時間
85点たぬきそふと約15時間
シナリオ
早川清子、華南恋、小佐内花檻、和泉万夜
原画
野々原幹
紹介サイト
たぬきそふと 『めばえ』
備考
 

思春期を、女っ気のない砂漠で過ごした男たちがいる。性にめばえた当時に飢えた、そんな人にこそお勧めしたい一作だ。

主人公、ヒロインともに明らかに中学生を意識したキャラクターで、性に目覚めたばかりの思春期男女のセックス&オナニーを追体験させることを狙った作品。若かりし日に、こんなエロいお姉ちゃんとクラスメイトがいたら「爆発しろ!」と言われずとも(股間的な意味で)爆発してしまうのではなかろうか。

主人公である佐倉柚樹はオナニー覚えたての少年。彼はクラスメイトである葉月莉子とゲームの趣味が合うこともあって二人きりで遊ぶようになる。実は経験豊富な莉子に引きずられて、柚木は次第に実姉である佐倉杏奈に対しても性の意識を強めてしまう。

本作でまっさきに目が向く設定といえば、やはりヒロインの一人である莉子が非処女である、という点だろう。

処女非処女談義をする気はさらさらないが、それだけで拒否反応を起こすユーザーが一定数いるであろう非処女設定を持ちだした以上、それを活かせるかどうかが本作のデキを左右する要素の一つとなることは間違いない。

その結果は見事なもので、まずはエッチに興味津々な主人公を経験豊富な莉子が誘惑することで彼の性衝動を突き動かすスイッチとして機能している。極めつけには誰が相手でもセックスは気持ちよく楽しいと感じていた莉子が、主人公に対して恋愛感情を抱くことでその心境が次第に変化していく、そんな乙女心を可愛く描くことに成功している。他作品ではなかなか味わえないユニークなポイントだ。

しかし「非処女」「セックスが趣味」と聞いて即座に思いつくような主人公以外の男性とのエッチシーンはセリフ上でほのめかされるだけで直接的に描写されていない。そこを指して冒険しきれていないのは確かだが、個人的には「ビッチな女の子と恋人になる」といったシチュエーションでの可愛さを追求する上でのバランスとしては間違っていないと思う。

さてさて、それではもう一方のヒロインである実姉、杏奈はどうかというと、こちらも莉子に負けず劣らず魅力的だ。

「同じ家に住む身近な異性」であるお姉ちゃんの無防備なエロさに気づいた主人公は彼女でオナニーする興奮を覚える。自分をオカズにオナニーする弟に対してどう接すればよいのか分からなくなるお姉ちゃんの葛藤を描く序盤は可愛いだけでなく面白い。

しかしこちらも、莉子の非処女設定をどこまで描写するかという問題と同様に「実姉弟間のセックス」の描写に関してどこまで冒険するかという問題を抱えている。こちらも莉子の非処女設定と同様にやや甘めの踏込みで、近親相姦の背徳感をあまり前面に出さないバランスで描かれる。

これらビッチ要素や近親相姦といったエロゲー的/倫理的タブー描写の踏み込みの甘さが意味することは、これらは実は本作のサブテーマでしかなく、「性のめばえ」というメインテーマを盛り上げるためのスパイスであることということだ。そして、その成果が主人公である佐倉柚木に結実する。

柚木はオナニー覚えたてでエッチなことしか頭にない。クラスのオナドル莉子ちゃんのパンチラに期待し、一つ屋根の下に暮らすお姉ちゃんに関するオナネタ探しに奔走する。エロいことに忠実なその思考はサルそのもので、つまりは性にめばえた当時の僕たちである。

つまり本作は、主人公である柚木に自己を投影し、性に初めて触れたあの日への性的若返りを促進してくれる、そんなユニークな一作だと考える。私はこの点を高く評価したい。

ビジュアル面はロリ絵師、野々原幹が原画ということもあり大満足。直球のロリというよりは”微妙なお年頃”な女の子の身体のエロさよ。

システム面には少し不満がある。例えばフォルダを分けてセーブできる機能は攻略キャラ数やルート数が多いゲームならば活用できそうだが、ルートが三つしかない本作では過剰な機能で煩雑だと思ったり。あとテキスト表示速度がゆっくりかノーウェイトかの二択しかないのは不満だった。

莉子と杏奈お姉ちゃん。どちらも大変魅力的でかつ、エロシーンも豊富にそろっているので、最近性欲が減衰したなあというあなたも柚木と一緒にめばえましょう。

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