『スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園』レビュー
by こーしんりょー · 公開済み · 最終更新
"マジックは少し薄れたが、しかしそれでも面白い"
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点数 | ブランド | プレイ時間 |
75点 | スパイク・チュンソフト | 約30時間+α |
シナリオ | ||
小高和剛 | ||
原画 | ||
小松崎類 | ||
紹介サイト | ||
スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園 | ||
備考 | ||
怪作『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』の続編。今回はコロシアイ修学旅行。前作同様、推理アドベンチャーゲームにデスゲーム展開やアクション要素を盛り込んだ非常に尖ったエンタメ作品だ。
前作プレイ済みの方ならば、本作の公式サイトにおけるキャラクター一覧を見れば即座にその関係性の深さに気づくことだろう。逆に前作未プレイ(かつアニメ未視聴)であるならば、こんな駄文を読むのをやめ、推理部分のネタバレを食らう前に即座に前作からプレイすることをオススメする。
ということで、以下は前作をプレイ済みであるという前提で記す。とはいうものの未プレイ者向けのネタバレ無しレビューという方針なので、推理要素の強い本作のシナリオについて言及できることは非常に少ない。更にシナリオ以外の要素についてもそれぞれ若干のパワーアップはしているものの、前作からの大きな変更点はほとんどない。よって手短にいこう。
物語の構造上、やはりデスゲーム開始直後の混迷を描く序盤と、黒幕を含む全ての謎を解明する終盤とが格別に面白い。前作の欠点であった中だるみ感も、推理の難易度を上げる、裁判中のアクション要素の増加など、やりごたえを増やす方向による工夫で改善が試みられている。
更にみんな大好きモノクマに加え、新たなかき乱し役を用意するなど、前作のコロシアイ学園生活を超える絶望を描こうという意思が感じられる。それらの試みはちゃんと成功していると感じるが……。
それでもやはり、前作が持つ"新鮮味"というもう取り戻せない武器を埋めるまでには至らなかったというのが個人的な印象だ。ほぼ同一ルールのデスゲームである以上、前作と同様の流れを踏む展開になることは避けらない。また本シリーズ独特の「先の読めないシナリオ展開」にも、ある程度の耐性がついてしまっている。
それでも前作を越えようという勢い余ってか、過剰に読み手のミスリードを狙った描写が目立ってしまったように思う。個人的には一点、この件でどうしても許せない描写があるものの、ネタバレなのでここでは伏せておこう。
また、やはりみんな大好きおしおきムービーに関しては、クオリティは維持しつつもしかし前作よりエグさは落ちた印象で少し残念だった。
以上のように、前作までは有効に効いていた"新鮮味"というマジックが少し薄れて、粗を覗かせてしまっていることは確かだろう。
ところが一点、前作以上に大変気に入った点がある。それは本作のテーマをメッセージとしてプレイヤーに伝えようとする、その手法である。少し曖昧な言い方になるが、それまでの物語的・ゲーム的過程が全てラストのメッセージに繋がっているんだと思わせてくれる演出プランの秀逸さに感動した。
間違った過去を撃ち抜き、真実の未来を斬り開く。モノクマという圧倒されるほどの魅力的な悪役――最悪なまでの絶望を描き切ったからこそ、そのカウンターとなる輝かしき希望を撃ち出せたと言えよう。その気持ちよさをもう一度味わえるという点で、前作をプレイしたならばやはり本作もまたプレイすべき一作だと断言できる。
最後に、本作での個人的な最萌えキャラは《超高校級のゲーマー》こと七海千秋ちゃん。前作レビューの最後で触れた某アイドルの活躍具合は非常に残念な結果に終わったが、一方はたして七海ちゃんはどれだけ活躍するのか、そこにも注目して欲しい。