もうガルパンはいいよ!
ん? ガルパン?
ああ、『ガールズ&パンツァー 劇場版』ね! かなり面白かったよ。
3DCGによる戦車戦と日本的美少女アニメがバッチリ調和したルックも観ていて気持ちいいし、なんと言っても音響! 劇場で映画を観る悦びを味わえるアニメ映画だったね!
え? 「いい」かって?
まあ、いいっちゃいいけど……いったい何を言わせたいの?
ぼくと ガルパンの なれそめ
僕はガルパン弱者です。昨年の11月末の公開からちょっとどうかと思うくらいのSNSでの反響ぶりを見て、「ここまで盛り上がっているならばおいらも祭に参加せねば」という野次馬根性と、加えて地方から来た友人が観たいということなので「それじゃあついでに」とインターネットチケットを予約しました。
予約したからには予習をせねば。TVアニメシリーズを仕事帰りに二日で全話視ました。
僕はアニメには全然通じてなくて、それほど熱狂的にハマった作品も少なく、正直TVアニメ版『ガールズ&パンツァー』もあまりノレなかった。
ノレなかったアニメの劇場版ということで「あちゃー、ちょっと失敗だったかー」と思いながら新宿バルト9へ向かう。
新宿駅南口から出てしばらく歩くと何やら頭の悪そうな連中が闊歩して道を塞いでやがる。上映開始10分前。劇場は視界に入っているのに立ち往生。「こちとら金払ってんだよ!」と、もしもあの場に戦車があったら全員をキャタピラの錆にしてやろうかという勢いだった。
あわや遅刻かというタイミングでデモ隊の隙間をくぐり抜け、ダッシュで劇場へIN。ゼーゼー、ハーハー。
そして鑑賞へ。ぶっちゃけ鑑賞したのが1ヶ月半前なので今ではあまり内容が思い出せないので、鑑賞直後のツイートを貼ろう。
『ガールズ&パンツァー 劇場版』観た。頭おかしい情報量で頭がおかしくなった。
— こー感しん経感度りょー好 (@KO_SHIN_RYO) 2015, 12月 13
とにかく疲れる映画だったことだけははっきりと憶えている。アドレナリン全開で「この男、イキまくり!!」という感じだった。
「あーやや、楽しかった」と友人二人と回転寿司へ。魚を肴にガルパン談義。僕は桃ちゃん萌えなんです。
この日は本当に楽しかった。二人の友人と別れ、帰宅、就寝へ。
その翌日から、ぼくの一人戦争が始まる。
ガルパンは確かにいいかもしれない。しかし……
『ガールズ&パンツァー 劇場版』は上映開始から2ヶ月半以上経った今でも話題に事欠かないロングランヒットとなった。
この現象下で醸成されたある流行ワードがある。今この記事を脳みそ空っぽでフロー・ライティングしているのは、この流行ワードに対する敵対心からだ。
敵対しているので僕はその流行ワードをタッチタイプしない。代わりに僕の気持ちをそっくりそのまま代弁してくれたツイートを貼ろう。
「ガルパンはいいぞ」がオタクの間では大ウケして、みんなで盛り上る『面白いネタ』だったことから逆算すると「せーのっ!○○最高ーッ!」ていうオタクがうんざりするぐらい嫌いだったアレも、もしかしたら一般人の間では『面白いネタ』だったのかな、ていう気がしてる。今。つらい。
— あきひろ (@Werth) 2016, 2月 2
今。つらい。
今! つらい!!!
ひとり勝手につらみポーズを晒す様は、「踊らにゃソンソン」とこの祭の渦中で流行ワードを連呼している連中から見れば「踊らぬバカ」と映るかもしれないが、こちらとしては無理やり『死霊の盆踊り』を見せつけられているような気分だ。
一つのコンテンツから、みんなが右向け右で『ムカデ人間』よろしく繋がり合う様はなんだか不気味だ。
しかも中身が無く、空虚だ。限りなく情報量が少ない流行ワードの繋がりによる「連帯感」にホクホクしているオナニー連中としか僕の目には映らず「ケッ、オナニーは独りで静かにやるもんだろ」と今日も一人ソロプレイに勤しむ。
流行ワードを用いる連中には「ネタバレガー」などと白痴のごとくのたまうのも居るが、この言説を口にする方とは決定的に「ネタバレ」という概念の解釈に対するスタンスが違うので近寄りたくない(接近したら戦争だ!)。この映画にネタバレもクソもねーよ! 「ネタバレ」でググれ、今すぐググれ!
確かに『ガールズ&パンツァー 劇場版』の重要なポイントは映像・音響による表現そのものにある。故に言語化しにくい。だから流行ワードに逃げたくなるのかもしれないが逃げは逃げだ。自分含め表現力のない人間も「でもやるんだよ!」と、映画制作陣がぶち上げたド級の表現をなんとか言語化することで本作を歴史に残したい。
後年この現象を見返したときに、流行ワード8文字に集約されるようなバカの歴史にはしたくない。
ガルパンとは関係ないけどついでに叫んでおきたいお話
僕の周囲のみで観測された現象かもしれないが、『ガルパン』の爆発的な流行をキッカケに、直近で公開された戦車戦映画ということで不遇な立ち位置に追い込まれた作品がある。
ブラット・ピット主演『フューリー』だ。
とにもかくにも「『ガルパン』は『フューリー』より良かった、というか『フューリー』ってそんなにいい映画じゃなかったよね(笑)」と論じられるのをネットで2回、リアルで1回遭遇した僕はそれこそFURY(激怒)だよ!
確かに、公開時期の関係もあって「本年度アカデミー賞最有力」と宣伝された割には第87回アカデミー賞ノミネートにかすりもしなかったズッコケぷりには思わず半笑いしたが、寧ろそこはキュートなところだ(ちなみに「日本アカデミー賞 優秀外国映画賞」に受賞している感じがこのキュートさを加速させる)し、本作は決して悪しざまに語られるような作品ではない。
ガルパンに勝るとも劣らない迫力の音響に包まれる戦車戦の阿鼻叫喚の地獄絵図っぷりは、やはり劇場で観れて良かったと感じられる一作だった。
でもさすがに「ブラッド・ピット最高傑作」は言いすぎよねー。僕にとっての「ブラッド・ピット最高傑作」はベタだけど『ファイト・クラブ』です。
最後に。『フューリー』はガルパンともちゃっかりコラボしているのだから、『ガールズ&パンツァー 劇場版』にドハマリしてアヘ顔ピースビデオレターを送ってくるオジサンはもちろん『フューリー』の円盤買ってるよなって話だ。
ちなみに僕は『ガルパン』にそこまでハマってないので買ってないです。すみません。