『黒獣・改 ~気高き聖女は白濁に染まる~』レビュー
by こーしんりょー · 公開済み · 最終更新
"輪姦・異種姦・濃厚フェラ! な異世界ファンタジー陵辱モノのスタンダード"
点数 | ブランド | 発売日 | プレイ時間 |
70点 | Liquid | 2018-10-26 | 約20時間 |
シナリオ | |||
浅生詠、和泉万夜、屋島狸 | |||
原画 | |||
日陰影次 | |||
紹介サイト | |||
黒獣・改 | 公式サイト | |||
備考 | |||
・2010年4月23日発売『黒獣 ~気高き聖女は白濁に染まる~』のリマスター版。 |
作品概要
本作はLiquidの人気作『黒獣 ~気高き聖女は白濁に染まる~』にアナザーエピソードの追加とシステム改良を施したリマスター版である。
原作ゲームはもちろんのこと、特にアダルトアニメ版が全五巻に渡ってリリースされるほどヒットしたシリーズであり、本リマスター版の発売はその二ヶ月後に発売を控えていた続編『黒獣2 ~淫欲に染まる背徳の都、再び~』のプロモーションとしての意味合いも強く、実際にアナザーエピソードのひとつにはこの続編へと繋がるものが収録されている。
基本はご新規さん向けの作品であるが、アナザーエピソードでは原作から8年が経過しているにも関わらずオリジナルのキャストが揃えられており、エッチシーンを10シーン追加、プレイ時間にして約2時間半ほどとなかなかのボリュームがある。
私は原作をプレイしていないので違いは分からないが、どうやらルート分岐が簡略化されて攻略も簡単になったようなのでファンならば再プレイしても良いだろう。
あらすじと作品コンセプト
人間やエルフ、ハーフリングといった複数の種族が「七盾同盟」の下に結束する同盟軍。
オークやゴブリン、ガーゴイルといった異形を従えたダークエルフの女王が率いる魔軍。
この両軍による数百年に渡る戦いに終止符を打ったのは、同盟軍が魔軍へと送り込んだ黒犬傭兵団による総攻撃だった。
本作の主人公にして黒犬傭兵団の隊長ヴォルトは魔軍の根城であった黒の城を新たな本拠地として同盟軍に反旗を翻す。
魔軍の軍勢を支配したヴォルトは今度は同盟軍の七つの砦を陥落させ、そこに住む女たちを国外の男たちに性的奉仕をさせる娼婦とする「奉仕国家」を建国すると宣言したのであった――。
以上のあらすじから分かるように、本作はファンタジー世界を舞台とした輪姦・異種姦に特化した陵辱モノである。
あらすじでは端折ったが本作のファンタジー世界の設定はそれなりに凝っている。
大陸や国にも細かく名前がつけられており、同盟軍と魔軍の戦争の歴史や各種族の特徴などもテキストの端々から読み取れる程度には作り込まれている。
とは言え本作は何よりもまず陵辱モノの抜きゲーとして特化した作りであり、あくまで主人公=プレイヤーが暴力でもって支配するこのファンタジー世界を嘘っぽく感じさせないだけの強度を担保することを目的とした作り込みである。
ヒロインたちとエッチシーンの傾向
本作はファンタジー世界の一地域という大規模な舞台を用意していることもありヒロイン数も9人と多く用意されている。
各ヒロインはそれぞれ種族と身分(立場)の組み合わせを強く意識させるキャラクター作りをしている。少々くどくなることは覚悟の上ですべてのヒロインを挙げていこう。
魔軍側から、ダークエルフの女王であるオリガ。そのオリガを崇拝するハーフエルフの騎士クロエ。
同盟軍の人間から、砦を守る誇り高き姫騎士であるアリシア。アリシアの従兄弟で世間知らずながら心優しい姫であるプリム。和風の宗教文化が根付いた地域で巫女の長を務めるカグヤ。かつてはヴォルトと共闘したこともある姉御肌な女傭兵のマイア。そして同盟軍騎士団長にしてヒロイン中唯一の人妻であるクラウディア。
同盟軍の非人間種族から、小柄ながら強靭な身体を持つハーフリングの長であるルー・ルー。そして同盟軍の長にして女神の生まれ変わりとされるハイエルフの女王セレスティン。
これらの身分と種族の組み合わせがエッチシーンの傾向に活かされることで数多いヒロインがそれぞれ差別化されることになる。
分かりやすいところで言えば、小柄で強靭な身体であることをいいことに巨漢の化け物との異種姦に特化したルー・ルーや、特殊な宗教観をきっかけに触手や蟲によるアナル責めに特化したカグヤなど。
また、もともとキャラクター間の関係性が深いオリガ×クロエや、アリシア×プリムなどは互いにかばい合うことで結局両方犯されるといった王道を外さない展開を見せてくれる。
一方で、すべてのヒロインに共通していることがある。それは高潔さを強調されたキャラクター付けがされているということだ。
多くのヒロインは姫や女王、またはなんらかの集団の長といったような高位の存在であり、その例外であるクロエやマイアはそれぞれ騎士や傭兵としての誇りある姿を見せる。
ヒロインが高潔であればあるほどその精神を折ることに破壊的な快楽が生じるものだ。故に、エッチシーンの傾向は違えど、どのヒロインも敗北の末に堕ちる姿をじっくりと描くことに重点を置いているのである。
これらヒロインだけに留まらず、同盟軍の七つある砦をひとつ陥落させる度にそこに暮らす村娘や女戦士、巫女といったモブキャラクターたちの陵辱シーンが挿入される。とにかく敗者であるすべての女を性的に蹂躙することを目指した作品である。
しかし、名前もないようなモブキャラクターのシーンについてはその前後でキャラの掘り下げなどはもちろんなく、まさにシチュエーションしかないエッチシーンで個人的には本作の味を薄めてしまっていると感じる。
モブキャラクターについては声優の被りも多くかつ似通った演技であることも残念だ。どれもキャラクターとして立っていないが故に担当声優も苦労したことだろう。
(ほどよく)暴虐の限りを尽くせ!
主人公ヴォルトはその内面に動機や思想といったものを持たずただただ破壊と快楽を追求する純粋悪だ。
故に彼が発案する理不尽な暴力の数々がヒロインたちを襲う。しかし、抜きゲーとしてのエンターテインメント性を損なわない程度にはその暴力表現もマイルドに調整されている。
例えば(破瓜を除いて)流血表現はない。
娼婦としての商品価値を維持するために怪我を負わせるようなことはしないというストーリー上の意味もあるが、殺戮を厭わない荒くれ集団による輪姦陵辱としては生ぬるく見えるかもしれない。
また触手貫通や脱糞、フィストファックといったハードコア寄りの表現もあるにはあるが、全100シーン近くあるうちそれぞれ1,2シーンほど忍ばせている程度。
もともと本作のメインテーマである輪姦・異種姦が主食という方から見れば、全体的には日常生活圏より一歩外に出た程度のハードさと言えるだろう。
加えて、身近な者の裏切りに合い、戦いに敗れ、娼婦へと貶められるヒロインたちを描いた作品であるが、変に悲壮感を強めすぎないようにキャラクターやストーリー構成に工夫が見られる。
キャラクターについてはなんと言っても「奉仕国家」という突拍子もないネーミングが象徴するように、ヴォルト率いる黒犬傭兵団の面々は誰もがワルである一方でどこかお間抜けなところもありなかなか笑わせてくれる。
ストーリー構成の面では一から七の砦攻略の中盤に当たる四の砦(マイア)・五の砦(ルー・ル―)攻略の展開がコメディ色が強く、その前後の重いダークファンタジー展開を中和してくれる清涼剤の役割を果たしている。
特に、マイアに振られたことを根に持って四の砦を黒犬傭兵団に売り払うという極端な裏切り行為に走る貴族の子息ミシェルがなかなかの名キャラクターで、催眠術を用いてマイアの身体を支配するエッチシーンはもはやコントの域に達しており爆笑必至の名シーンとなっている。
以上のように、基本は悪党となって暴虐の限りを尽くす快楽を味わう作品ではあるが、痛い描写は抑えめで、かつ所々で笑いも挟まり後味が悪くなり過ぎない。
エンターテイメントとして見事なバランスに仕上がっていると言えるだろう。
総括
異世界ファンタジーを舞台とした陵辱モノとしてキャラクターやシーンを幅広く豊富に揃えており、尖ったところはあまりないものの満遍なく高水準にまとまった一作である。
リマスター化にともなう追加シーンも含めれば十分に大作と呼べるボリュームも有り、輪姦・異種姦が好みであるならば購入をおすすめしたい。