『汚された夏 ~10本の手で嬲られた少女~』レビュー

"抜きゲーみたいな村"

点数ブランドプレイ時間
55点KLEINシロップ約8時間
シナリオ
チーム鬼島、MILLION-FACE
原画
芦俊
紹介サイト
「クラインシロップ」(リンク先で音声が再生されるため注意)
備考
 

あらすじ

大学のキャンパスがある南総町へと引っ越した主人公・仲根 美帆
ルームメイトの上級生・白石 玲は真っ直ぐな性格の美人で上手くやっていけそうな雰囲気の中、彼女の新生活が始まる。

しかし、通学に使用する朝の路面電車で痴漢被害に遭ったことから、彼女は南総町に張り巡らされた罠にはまり込む。

美帆を痴漢した大学教授。
玲が所属するテニスサークルの男子部員。
美帆の妹・亜季奈が所属する水泳部のコーチ。

その他、南総町に住む多くの男たちが美帆と彼女の周囲の女性たちの身体を弄ぼうとその手を伸ばしてくる――。

南総町という舞台

本作は、タイトルからも想像できるように多人数の男たちによって犯されるという輪姦シチュエーションを重視した陵辱モノの抜きゲーである。

陵辱モノの抜きゲーは、犯されるヒロインたちを魅力的に紹介しつつ、彼女たちがどのような過程を経て陵辱者たちに蹂躙されるかという導入部分のストーリーを、いかにして手短に語り切るかというのが序盤の見どころだ。
特に大事なのは「手短に」の部分。ズボンを下ろしたプレイヤーに風邪を引かせないためにも最初のエッチシーンはプレイ開始から10分以内に置かれるのが基本だ。

この難関をショートカットするための鍵となるのが舞台設定だ。
性暴力という悪事を前に倫理的な葛藤をする陵辱者の描写などは物語のリアリティを高める効果が見込めるものの、多くの作品ではいらない要素だろう。
そういった面倒くさい描写をすっ飛ばせるように、陵辱されやすい空間をあらかじめ作っておくのが得策だ。

そんな訳で本作の舞台である南総町は、町そのものが「性欲処理場」として機能しているというなかなかぶっ飛んだ設定がなされている。

政治家や権力者を性的奉仕で囲い込むことで発展した町。
そこで強姦されても警察からは「この町では婦女暴行事件は起こらない」と突っぱねられる、そんな恐ろしい空間。

この設定が背後にあるからこそ、町中の男たちがこぞってヒロインたちの身体を嬲り倒すというシチュエーションが成り立つ。
この町に住む陵辱者たちの間にはどうやら性欲処理のターゲットとなった女性たちの情報が共有されるネットワークが存在するらしい……といった細かい描写など、なかなか頭が悪くて笑える。

泣き顔が映えるヒロイン

本作は主人公である美帆のシーンがゲーム全体の半分以上を占め、彼女を犯したいと思えるかどうかで評価が分かれるだろう。

美帆は少し奥手なところがある大学生。
今回のキャンパス移動による転入をよい機会として少しは積極的な性格に変わりたいと思っている。
そんな変身願望が(ある意味で)叶うということが、先の南総町の舞台設定から容易に想像がつくだろう。各エンディングを迎えた彼女の姿への前フリにもなっているなかなか巧い設定だ。

そんな美帆は状況が状況だけによく泣き顔立ち絵を見せるのだが、この泣き表情がなかなかそそる。
正直言って陵辱とは関係ないシーンでもよく泣き表情を見せる(恐らく「困り表情」として多用されている)のでそこがツッコミどころと言えなくもないが、立ち絵のパワーとしては十分だろう。

「奥手な性格で脅迫に屈し、泣き顔を見せつつ汚される少女」にピンとくるならそれなりに使える作品となるだろう。

サブヒロインも軽く触れておこう。

ルームメイトの玲は正義感のある真っ直ぐとした性格なのだが、そんな彼女が「就活」と「想い人」という二重の罠に絡め取られ、その正義感が堕ちるところまで堕ちてしまうところが魅力的だ。

妹の亜季奈は……正直に言ってロリ貧乳要員&美帆への脅迫材料として必要だから用意した、以上の魅力が感じられず。
天真爛漫な性格で絶対に好いてはならないある人物に好意を抱いてしまうという点は面白くもあるのだが、彼女の堕ちる過程の雑さや、声優の力量も他二名と比較して一段落ちるのもあって、個人的には使えなかった。

いろいろと物足りない

そんな本作であるが、欠点は多い。
ざっくり言えばいろいろと物足りない。三点挙げよう。

第一に、パートボイスが物足りない
本作はパートボイスであり、エッチシーンとプロローグなどの特殊シーン以外ではボイス再生がされない。
当時のタイトルとしてはそんなに珍しい仕様でもないが、やはり物足りなさは感じざるを得ない。
ちなみに、本作で最後に見ることになるエッチシーンだけ何故かボイスがない。収録漏れだろうか。

第二に、シーンの尺が物足りない。
シーン数はフルプライス相応に用意されているがどれも尺は短め。その短さはプレイ時間に如実に表れている。
輪姦シーンあるあるとして一人ひとりの挿入時間が短いというのがあるが、一対一のシーンでも基本的に短い。南総町は総早漏社会か。

第三に、テキスト力が物足りない
これはエッチシーンについても言えるのだが、特にあるルートでの「意外な展開」における話だ。
詳しくはここでは述べないが、その「意外な展開」にまつわる演出には思わず拍手を送りたくなった。しかし、その演出自体の面白さに対してテキストの力量が追いついておらず、ただただ惜しい。
そもそも抜きゲーにそれいる? という話ではあるのだが、こういう茶目っ気のある作品は応援したくなるだけにもう少し完成度を上げて欲しかったところ。

ちなみにこの「意外な展開」で活躍するサブヒロインの浅間 奈那子にエッチシーンはない。
これ、物足りない点の第四ね。

総括

なんといっても本作の魅力は売れ線の萌え絵でそこそこハードな輪姦陵辱を描いた、その点に尽きるだろう。
本作原画の芦俊さんはその後ま~まれぇどで活躍している。絵の力があることはそのことからもうかがい知れるだろう。

その副産物として産まれた南総町という舞台設定は、その後ブランドを変えながらも同じく芦俊さんが原画を担当した『町ぐるみの罠 ~白濁にまみれた肢体~』にて南翠町としてトレースされることになる。
この少々トチ狂った世界観は先述した「意外な展開」のような遊びの余地がありつつ、しっかりとエロスを感じさせる発明だったと思う。

その古さもあって今からプレイするにはやや賞味期限切れ感があるが、それでも敢えて南総町に足を踏み出そうという諸兄に対して私から一つだけアドバイスをするならば、クソ長いエンディングムービーはエスケープキーで飛ばせるぞ、ということだ。

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