『ガチンコ!ビッチクラブ』レビュー
by こーしんりょー · 公開済み · 最終更新
"ガチンコ?"
点数 | 発売日 | プレイ時間 |
40点 | わるきゅ~れ | 約5時間 |
シナリオ | ||
闇鍋 | ||
原画 | ||
すめらぎ琥珀 | ||
紹介サイト | ||
わるきゅ~れオフィシャルホームページ | ||
備考 | ||
近年、ビッチギャルが見直され始めている。その下品なまでに剥き出しな性的野生性は、「かわいい」から発進するものとは異なるエロスを表現できる。そこに目をつけたクリエイターが、まさにビッチギャルを題材にした作品に(多くは同人を主戦場に)着手し始めたのだ。
その流れの中で人気原画家すめらぎ珀琥を引き入れ制作された『ガチンコ!ビッチクラブ』は、ビッチギャルというジャンルを商業エロゲにおいても確かなものとする一作として期待していた……が、しかし。
結論から言えば、ビッチギャルという属性に対して真摯に取り組んだ作品だとは感じられなかった。
主人公・城岡太一は、共学化したばかりの元お嬢様学院である聖ニンフォ学院への入学を果たす。清楚な美少女との交際を臨んでいた太一だったが、そこに通う派手目なギャル・網野美晴に(チンポが)気に入られてしまい、彼女が暫定部長を務めるビッチクラブに仮入部させられてしまう。
太一がビッチクラブの中で果たすべきことは、部長(=一番ビッチに相応しい部員)を決めるべく、ビッチクラブの部員とセックスすること。すでに逆レイプまがいの流れで各部員と関係を持ってしまった太一は、ギャルからの責められHという魅惑に断れるはずもなく、快諾することに。
この先、太一に待ち受けているものとは一体!?
……といったあらすじであるのだが、まず本作をプレイしていて気になった点として、珍しく三人称で書かれたテキストのギャグの滑りっぷりが挙げられる。特に先ほどのようなバラエティ番組風の煽り文句の多用にはゲンナリさせられた。ギャルっぽさを意識したテンション高めのテキストは、戦略的には正しいのだが、しかし考えなしに挿入されるパロディネタがその効果をいちいち減じている。
また、設定の面でもあまり考えられていないと思う箇所がところどころ存在する。特に序盤、太一のクラスメイトがビッチギャルばかりであるという描写があるのだが、この設定はビッチクラブに所属するヒロインたちの特別性が減じるだけで不要だ。
個人的にビッチとは、その環境における異物として存在し、援交だの二股だのといったゲスな噂だけが聞こえてくるからこそ妄想が働き、そこに魅力が生じる属性と考えている。故に、ヒロイン以外のモブキャラもみんなビッチギャルでは、ヒロインのビッチ性を強くアピールすることが出来ない。元お嬢様学院なのにこんなビッチがいる! というギャップすらも打ち消す、まさに愚の骨頂としか言えない設定だ。
また、主人公以外の男がヒロインとセックスする描写を見せないというのも解せない。各ヒロインの台詞の節々から、他の男ともヤっている風のことが語られるが、直接的な多人数シーンは竹原優里愛先生(と、あとオマケ的に某ヒロインにひとつ)にしか存在しない。ストレートにビッチギャルを前面に打ち出そうとしている作品だからこそ、性に自由奔放なヒロインが主人公以外の男も巻き込み精液を搾り取るシーンを、逃げることなく見せるべきだった。
従って、「ビッチクラブ」といったタイトルや、「たくさんの使用済みコンドームに囲まれたヒロインたち」という構図のパッケージイラストから想像されるものとはズレる作品であることは言うまでもない。事前情報で期待した人ほど合わないという点で、本作はお勧めしにくい。
では逆に、一体どのあたりにビッチ要素が詰め込まれているのかというと、それはエッチシーンにおける下品なセリフ回しにのみあると思う。確かにそれはビッチギャルにおける大切な要素だし、それがハマっているためシーン単体ではしっかり使えるものもあるのだが、しかしビッチギャルを題材にしてクリアしている要素がそれだけというのも寂しい。
これに加えて絵のクオリティと、いつでも白ギャル・黒ギャルをスイッチ出来るシステムが本作の評価ポイントだろう。とは言え画面解像度が800×600であることを含め、基本システムは2014年発売作品の水準には達していない。それと特定ルートを攻略後、タイトル画面で初めからを選択することでハーレムエンドが見られるという仕様も分かりづらい。
以上のように、「チンコ」という文字列が含まれてるから「ガチンコ」を名乗っているだけで、決してガチでビッチギャルの魅力を追求した作品とは言えないということは知っておくべきだろう。