『ラ・ラ・ランド(字幕版・DOLBY-ATMOS)』がDOLBY-ATMOSで観れなかった件

話題作『ラ・ラ・ランド』を観た。……が、この記事ではあまり『ラ・ラ・ランド』自体には触れず(正直感想をまとめきれない!)、機材トラブルに見舞われた私の不運を記録に残したい。

まずは『ラ・ラ・ランド』について基本情報から。

『ラ・ラ・ランド』は、ゴールデングローブ賞で歴代最多の7部門受賞、かつ監督であるデミアン・チャゼル監督は最年少での監督賞を受賞した。さらに今月27日に発表されるアカデミー賞でも歴代最多タイの14ノミネートを果たした。
また、映画評論家の町山智浩さんや、シネフィルで知られるゲームデザイナーの小島秀夫さんなども絶賛しており、日本公開前の事前評価はこれ以上ないと言っていいほど高いものだった。

それだけでない。デミアン・チャゼル監督は、2015年の個人的ベスト映画である『セッション』の監督でもある。
『セッション』鑑賞後に監督について調べ、「次はミュージカルを撮る」と知った時からこの日を楽しみにしていたのだ。

世間が「プレミアムフライデー」なんぞに気をとられる中、私は確実に上映初日に本作を鑑賞できるよう一月以上前から有給をとり、この日に備えていたのである。

それだけ期待していた作品、最初に観るならばやはり最高の環境で鑑賞したい。となると選択肢としてはIMAXかDOLBY-ATMOSか……迷った挙句、同日にもう一本『ヒトラーの忘れ物』を観たかったので場所を新宿、時間的に都合がつく15:50スタートのDOLBY-ATMOS上映を選択した。

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席はもちろんプレミアムシート、しかもど真ん中の12番。
最高の映画を最高の環境で対峙する準備万端。私は勇んで家を後にした。

そしてTOHOシネマズ新宿に到着するなり信じられないアナウンスが耳に入ってきたのだ。

映画館で機材トラブルが発生することは理解できる。私も過去に『インターステラー』を観た際に、冒頭3分ほど無音で一時停止、再度冒頭から上映という体験をしたことがある。だが困った。年単位で鑑賞を望んでいた作品をこれから観るっていうのにトラブルとは!

結局スタート時刻の15:50から10分ほどオーバーした16:00ごろに入場が始まった。『ヒトラーの忘れ物』のスタート時刻は『ラ・ラ・ランド』終了から約1時間後だったため、この遅れのせいで『ヒトラーの忘れ物』が観れなくなるということはなさそうで私はホッとした。

しかし、入場ゲートを越えてもしばらくは9番スクリーンに入ることはできず、TOHOシネマズ新宿の2階は『ラ・ラ・ランド』入場待ちの人でごった返していた。

そんな中、二度目の信じられないアナウンスが耳に入ってきたのだ。

落胆である。

人は映画を観る前の状態に戻ることはできない。だから、「最初の一回目」は以降のどのn回目よりも大事なのだ。
その大事な一回目を最高の環境で観ようと事前に準備をしていたというのに、この仕打ちである。

最初から「通常上映で観る」のと、「本来DOLBY-ATMOSで観るはずが通常上映で観ることになった」のとでは、前者の方がはるかにマシだ。
『ラ・ラ・ランド』は開幕からいきなり凄まじいミュージカルシーンが展開されるのだが、「これ、DOLBY-ATMOSだったらもっと良い音で歌が聴けたのになあ」と思わずにはいられず、その思考そのものが映画を観る上でのノイズとなるからだ。

しかし、映画自体は事前評価通り、そして期待以上に楽しく、何よりクライマックスシーンのある展開から生じる深い感動に呼吸すら忘れて魅入られた。

故に、やはり、最高の、環境で、鑑賞を、したかった……!

スタッフクレジットも終わり、劇場が明るくなる。凄まじい余韻に浸りたかったが、すぐさま劇場スタッフからの謝罪とDOLBY-ATMOS追加料金の200円の返金に関するアナウンスが耳に入ってくる。
これは仕方のないこととはいえ、さすがに「邪魔するな!」と心底思った。 

最高の映画の大切な一回目を、不運に邪魔されたこの怒り。
近々IMAXで観直して昇華してやりたい。

この土日は所用で観れないんだよなあ、チクショー!

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