Hi・Ra・Ri – 『勝 あしたの雪之丞2』をプレイ その1
プレイ進捗
『あしたの雪之丞』(レビュー)からほとんど間を空けず、続編に当たる『勝 あしたの雪之丞2』をプレイ開始。
本音を言えば、続編に当たるこちらが本命だった。そのために前作をプレイしたとも言える。
なぜなら私がこのシリーズを気になったきっかけが『勝 あしたの雪之丞2』のオープニングテーマである「Hi・Ra・Ri」だからだ。
なんだろう、このサビの泣かせ力。最高なんだけど、どうも原曲のFULL版が存在しないらしいのよね……。
ということで、プレイ進捗としては最初に三枝マキルートをバッド含め攻略が完了した段階。
ファーストインプレッションと、マキルートについてひとつ触れておきたいポイントがあったのでそれについて記す。
ファーストインプレッション
パッケージ
プレイ以前の第一印象なのだが、まず何と言っても前作と合わせたパッケージが特徴的。
両方とも未プレイの方にはピンとこないかもしれない。
前作はメインヒロインだけが描かれたパッケージで、今作ではメインヒロインだけが描かれていないパッケージとなっているのだ。見事に対照的。
まだ今作の半分もプレイしていないが、今作のメインヒロインである水島あきらはダウナー系ヒロインで、前作のメインヒロインである元気系ヒロインの春日せりなと比較するとパッケージにドカンと乗っけて映えるタイプではないなという印象はある。その反映だろうか。
遊びやすさと難易度
ということでプレイ開始したわけだが、前作が2001年8月発売、今作が2002年9月発売という発売間隔の短さから、システム的には大きな変化はない。
しかし、小さな変更点で前作よりも遊びやすくなっている。主に選択肢周り。
もともと前作からマップ選択と通常選択肢の組み合わせが多く、難易度はやや高めだった。それは本作でも変わらない。
しかし、過去に選択したことのある選択肢が赤く表示されるようになったので試行錯誤は楽になった。
加えて、前作ではマップ選択画面に入る前に学園内・学園外のどちらを探索するか選択しなければならない作りだったが、今作ではマップ選択画面内で学園内・学園外を切り替えられるため、そこでのセーブ&ロードの必要がなくなった。
こうして遊びやすさが向上したからか、おそらく本作は攻略難易度が更に上がっている。
実は、最初に攻略しようと思っていたのは後輩キャラの藍川ちはるだった。
しかし、彼女はマップ選択画面でいつも二箇所に出現するため、なかなかフラグが立てられない。すでに10回くらいは共通パートのバッドエンディング終わっている……。
そこで他ヒロインに切り替えたところ、三枝マキが毎回一箇所出現という低難易度だったのでこちらから先に攻略を始めた次第。
一応、マキだけが特別難易度が低いだけであることは強調しておこう。ちはる以外のヒロインもマップ選択画面では毎回複数箇所に現れるのである。
ヒロインたち
まだ1ルートしか攻略していないポワポワ状態だが、第一印象では桜瀬由美子が一番だった。ストレートヘアーで病弱という、超正統派ヒロインだ。
しかし、マキルートをクリアしてみて株が上がったのがメインヒロインのあきらだ。
前作メインヒロインのせりな同様、他ヒロインルート突入後も主人公・久保勝に近いポジションにいる彼女が最後の最後に勝の背中を押す(そして失恋する)という役割を背負わされているようだ。そういうの、好き。
あきらルート含め、その他のルートでも活躍(=失恋)が期待される。はたしてせりなを超える敗北ヒロインとなれるだろうか。
後もう一名、前作のヒロインのひとりでもあった久保晶子も忘れてはならない。前作での裏のメインヒロインとして活躍する個人的最萌えキャラだったが今作では実妹ポジションだ。
前作はその状況から険悪な雰囲気を放つことの多かった彼女も、今回は家族との生活の中で意外な茶目っ気も見せてくれる。
多分発売時期的に実の兄である勝との直接のエッチシーンはないと思われるが、はてさて。
ヒロインの話とは少し離れるが、前作は陰気な野郎の一人暮らしに対して、今作は可愛い妹が居る実家暮らしということもあってぐっと作品全体の雰囲気が明るくなったと感じる。
マキルートと『卒業』
ということで攻略したマキルートについて少し。
本作の暴走娘枠。勝ち気な性格のお嬢様。その傍若無人っぷりを許容できるかどうかで好き嫌いは別れるかもしれないが、炎道イフリナの名前を出すまでもなく、私はこの手のグイグイ引っ張ってくるヒロインは好みなのでなかなかお気に入りである。
シナリオについて。15年以上前の作品だけあって、2018年基準で見るとこれがいま発売されたら少なくとも私のタイムラインは荒れるだろうなあと感じる許嫁的な「お家の事情」展開だ。
私としてはその展開自体はあまりマイナスには思わないし、ノーマルエンドに当たる「10年越しの大恋愛」エンドでは作中ではマキと結ばれないが、しかし未来を感じさせるという独特の後味がよかったりした。
ところで、マキルートでは序盤にふたりで映画『卒業』(直接タイトルには言及されない)を鑑賞するシーンがある。
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クライマックスでの花嫁強奪シーンが有名な傑作恋愛映画で、私も好きな一作だ。
『卒業』はそのクライマックスがあまりに有名なので多くの作品でオマージュ・パロディされている訳だが、今作でもわざわざ『卒業』に言及するということはその後の展開は既定路線に乗ったようなものだ。
考えてみると、ボクシングを引退したことにより目標を失い、将来に迷う主人公という意味で今作の勝は『卒業』の主人公であるベンジャミン的だ。もちろん、『卒業』のようなドロドロな不倫劇は展開されないが。
もう一点、『卒業』との違いを述べるとすれば、トゥルーエンドのラストだろう。
『卒業』では花嫁強奪後にバスに飛び乗って物語が終わる。
ベンジャミンと花嫁は最初は幸せそうに笑みを浮かべているのだが、しかし子供を卒業してこれからは大人として二人だけでこの世界に生きていかなければならないという現実に気づいた二人は次第に無言のまま真顔になっていく。
完璧なハッピーエンドではなく、最後の最後に引っかかりを残してスタッフクレジットに入るのだ。
対して、今作もほとんど同様な展開を迎えるものの笑顔なハッピーエンドで終わる。
そういう意味ではいかにもエロゲーらしい「甘い」エンディングではあるが、勝ち気なマキが最後に影が差すような表情で終わるのもどうかと思うので、それもまた良いのだろう。
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