『デデンデン!』レビュー
by こーしんりょー · 公開済み · 最終更新
"せめて凛のおっぱいぐらいのゲームボリュームがあれば……"
メカ、世紀末、そしておっぱい! 男の子のロマンを忠実にぶち込んだ世界観と美女たちで彩られた、新規ブランドONE-UPによる処女作のタイトルは『デデンデン!』。その潔い直球っぷりよ!
ジャンル名を「ドラマティックアクション」と謳う本作は、機動兵器AM(アサルト・モジュール)を駆使して廃墟と化した東京にはびこる人類の敵・ドローンを蹴散らしていく横スクロールアクションゲームである。
アクションゲームとしての出来栄えに関してはここでグダグダと述べるより「体験版をプレイしてみて!」と言っておこう。個人的な感想を残しておくとするならば爽快感重視でゴリゴリと進めることができ、キャラクター(メカ)を「動かす快楽」は得られたといったところか。
ステージが難しくなるに従って新兵器を開発できるので、試行錯誤する楽しさとマンネリ対策もある程度はできていたように思う。
そんなわけでアクションゲームとしては一定の評価はできるものの、ボリュームの薄さに関しては残念としかいいようがない。シナリオクリアまでは約5時間ほど。うちアクションパートに割かれる時間は半分以下と、肝心な「動かす快楽」を享受できる時間が少なく物足りない。
シナリオ攻略後にはエッチシーン回収や残った武器の開発などを目標としてフリープレイに臨むことになるのだが、特に新ステージが追加されるわけでもなく(既存のステージ内で行ける範囲は広がる)、およそ3時間もすればシーンコンプ・武器コンプができてしまい目標を失ってしまう。
ポジティブに見れば飽きる前に全部終わるともいえるが、できることなら飽きるほどプレイさせて欲しかったというのが正直なところ。
また、本作はその労力のほとんどをアクションパートに費やしたようで、シナリオやシステムなどからはギブアップ感がプンプンと漂う。
シナリオに関しては読点が異様に多く(しかも禁則処理されていない)読みにくいテキストにさっそく辟易とさせられる。加えて世界観にいまいち沿わないパロディネタに任せた掛け合いが続き、その出来栄えの程は序盤のうちに想像できてしまうだろう。だがまあ、本作の力点がアクションパートにあるという点を考慮すればまだ許容出来るか。
しかしシステム面に関しては擁護できない。本レビュー執筆時点(2013/02/25)でシステム設定画面には音量設定とキーコンフィグしかない。フルスクリーン表示ができない。テキストバックログがない。既読スキップが変なところで止まる。マウス操作が可能なシーンと不可能なシーンが有る……などなど、致命的なバグはないもののストレスが溜まる仕様が大変多い。
システム面の不備は本作の見所の一つであるエッチシーンをも巻き込む。オギン☆バラが描くムチムチ系の絵柄をフルスクリーンで楽しめず、テキストバックログがないので音声を二度聞くことができず、テキストボックスを隠すのにも一手間かかる。
キャラデザがとんでもなく魅力的で、エッチシーンに対する期待が大きかったがために落胆は大きい。参考までに、各キャラ3回から4回のエッチシーンがありどのヒロインも最初のシーンでは必ずパイズリから始まるというこだわりっぷりには感服した。ややマニアックなシーンはあるもののこの手のタイトルにしては珍しく陵辱シーンはない。本音を漏らせば機械姦が欲しかった。
「遊べるエロゲー」としてなんとか最低限の質をこしらえたという感じの仕上がりで、本質であるアクションパートは出来る限りクオリティアップに務めたが、それ以外の要素にはまるで手が回らなかったという現場の様子をありありと想像できてしまう一作だった。
とはいえども本作原画のオギン☆バラによるド派手なキャラデザとムチムチな絵柄にはたいへん惹かれるものがあるので、是非とも本作からONE-UPした「遊べるエロゲー」制作にチャレンジし続けてくれることに期待したい。