『戦国ランス』レビュー

"(プレイヤーの)時が動く、速く激しく。"

戦国ランス
戦国ランス

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アリスソフト (2006-12-15)
点数ブランドプレイ時間
95点ALICE SOFT約50時間+α
シナリオ
とり、TADA
原画
織音
紹介サイト
戦国ランス
備考
・ゲーム性有り(地域制圧型SLG)


ふと窓の外を見ると明るくなっている――そんな日々が続くこと請け合い、中毒性バツグンのシミュレーションゲームとして『戦国ランス』の完成度は極めて高い。

タイトルロゴの影に『RanceⅦ』と書かれている通り、本作はランスシリーズの七作目に当たる。しかし付属のプレイマニュアルには本作までの流れや世界観の解説があり、また何より主人公であるランスの単純明快なキャラクターも手伝って、シリーズ未プレイ者でも抵抗なくランスワールドの世界観に入り込めるだろう。これは余談だが、私のランスデビューも実は本作。

舞台はJAPAN、時は戦国。ジャンルを地域制圧型SLGと置く本作は、ランスが影番を務める織田家を操作して領地拡大を目指す。

基本的には行動回数が決められているターン内でコマンドを選択していくことでゲームが進む。他国を侵攻するもよし、キャライベントでSEXしまくるもよし、迷宮探索して宝を探すもよし――提示される情報量は多すぎず、しかし選択肢の数は莫大。

これはゲームにおける取り組みやすさと、いくらでもやりこめる深さとを、根幹となるゲームデザインの時点で同時に実現しているといえる。

そのゲームデザインの上を走る脚本も多種多様なキャラクターで彩られたミニイベントの数々や、エロとバトルで盛り上げる単純明快さでサクサクと読み進められる。また適度なタイミングでプレイヤーに重要な意思決定を求めてくるストーリー展開には止め時が見つからない。

ランスワールドの正史に当たる[正史]ルートと、ifに当たる3つのヒロインルートでそれぞれ大きく物語・ゲーム目標が変わる点もポイントが高い。〝少なくとも〟4周は新鮮に楽しめる

この4周を終えても『戦国ランス』は終わらないしやめられない。未見CGの回収、主要キャラのイベント制覇、縛りプレイや高難易度プレイ、高得点プレイなどなど、攻略後のやりこみ要素も満載。

更には修正パッチにて、特定イベントを回避できじっくりと織田家で全国統一を目指せる[猿殺し]ルートと、好きな勢力を選んでプレイ開始できる[全国版]が追加され、全てを遊びつくすにはどれ程の時間が要するか想像できないレベル。

長時間遊ぶことになる関係上、SAVE&LOAD画面の気の利きっぷりが地味に嬉しい。ターンの初めに自動セーブされるのはもちろん、SAVEボタンを押すと即ページの最上部に記録されるためロードも楽。お陰様で最適解を目指しての試行錯誤が止まらなくなる。

ゲーム速度の調節もでき、システム面でしっかり廃人プレイをサポートしてくれるその手厚さにはこのゲームに費やしたプレイ時間分の感謝を送りたい。面白すぎるぜチクショウ!(笑)

プレイマニュアルで紹介されているキャラクター数だけでも約70人。どのキャラも織音により描かれた個性あふれるデザインで、老若男女そろって魅力的。これだけのキャラを描き分けられる織音の引き出し、恐るべし。

個人的にイチオシは可愛い動物に目がないスク水セーラー鉄砲娘・柚原柚実と、世界一抱かれたい一頭身・独眼竜正宗。この二人はどちらもデフォで活躍できる有能な武将だが、基本的にどんな武将でもしっかりと育てれば大抵は最後まで活躍できる点も嬉しい。

絵が綺麗でキャラも大変魅力的だが、ランスの強烈なキャラクターのおかげでHシーンはギャグテイストが強く実用性は低い。が、ニヤニヤと楽しめる内容なのでゲームプレイを促すご褒美要素として十分機能しているため個人的には満足。

キャラボイスがないものの、それを補って余りあるほどに素晴らしい音楽の数々は本作を語る上で外せない。初起動時に流れるOPムービーで使用される『Sengoku Rance』に始まり、基本戦闘BGMの『Advance On(v2)』、また特定勢力との戦闘時に流れる『Ontlogy』辺りはたまらない。もちろんシリーズ定番の『My Glourious Days』も(笑)

とりわけ最終局面を熱く盛り上げる『Rebirth the edge』は、今やエロゲーの枠組みを超えて高く評価されるゲーム音楽として名高い。ぜひともゲームをプレイして聴いてもらいたい一曲。

兎にも角にも寝不足必至の超大作。ランスシリーズ的にも重要な局面を迎える熱い一作なので、時間に十分な余裕があるならば猛烈にオススメしたい。

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