『聖娼女 ~性奴育成学園~』レビュー

"高級娼婦よりこれを買え"

点数ブランドプレイ時間
90点Frill約30時間
シナリオ
若林浩太郎、瑞守ねおん
原画
恋泉天音、金目鯛ぴんく
紹介サイト
聖娼女 -性奴育成学園-|Frill Official website
備考
 

エロい大作。スッキリしちゃうと次のエロシーンが勿体無く感じてしまいそこで中断してしまう私のようなユーザーにとっては、いつまで経っても終わらないという嬉しい悲鳴を股間から上げたくなっちゃう渾身の出来栄え。

私立白百合ヶ丘学園には由緒ある名門校としての表の顔とは別に、VIPたちの肉欲を満たすための高級娼婦を育成する娼館としての裏の顔がある。そんな学園に裏社会で悪名高い女衒・時沢直巳が女生徒の調教役として招かれるところから物語は始まる。

攻略対象は5+1人。メイン5人のシナリオは大筋のパターンが共通しており、前半は罠にはめられた結果直巳による調教を受け性奴として花開き、後半は高級娼婦となり見ず知らずの男性を客にとっての売春ご奉仕エッチという展開をみせる。

しかし各ヒロイン毎にエッチシーンのテーマが明確に設定されており、
桂木 紫苑はアナルセックス
宮前 彩葉は撮影プレイ
城崎 優莉は調教者(直己)への好意
上条 翼はブルマ&スク水
速水 涼香は不倫
といった点を前面に出すことで各ヒロインの差別化をはかっている。

本作の特徴として、この手のエロゲーの購入層の多くが高い満足度を得られるよう、最大多数の最大幸福を狙って調理された抜きゲーに仕上げられている点が挙げられる。

分かりやすいところでは、ハード&マニアック過ぎるシーンを抑えめにしている点が挙げられる。アナル開発を先述の通り紫苑ひとりに集中させているのもその一環だろう。嫌がったり痛がったりといった表現も極力避けられている。射程距離を伸ばすことよりも射程範囲を広げることで、多数のライト層に刺さる作りを目指しているように感じた。

従って、ハードプレイやマニアックシチュエーションが目当なプレイヤーには若干物足りなさが残るかもしれない。しかし、そんなプレイヤーにもズボンを下ろさせうる力が、本作の持つ独特で丁寧なエロ描写作りある。

エロシーンではバルーンウィンドウモードというテキスト表示形式が採られている。これはテキストを吹き出しにして、一枚絵の上を右から左へと順番に表示させるというもの。このシステムは単にデジタルコミックらしい臨場感があるというだけでなく、本作の構成とゲームデザインとの関係で生じてしまうある問題を解決することに貢献している。

その問題とは二つある。第一に、前半調教・後半売春という構成のためヒロインとエッチする男性キャラクターが変わることから、主人公である直巳の一人称視点で完結できないということ。第二に、ゲームのテーマ上前面に出したいヒロインを調教する征服感、あるいはヒロインの身体をお金で買う征服感といったエロさが、ヒロインの一人称視点だと演出しずらいということだ。

その対処法として、漫画風にシーンを描くバルーンウィンドウモードの演出は固定キャラクターの一人称視点から離れつつ、各シーンの雰囲気を統一する役割を果たしていた。

またバルーンウィンドウモードの仕様に合わせてテキストもよく練られている。まず、一枚絵を覆い隠さぬよう吹き出しを小さくするために一文を短めにまとめている。また、ヒロインの(喘ぎ声以外の)台詞や心情を増やすことで、直接的な三人称視点描写を減らしている。

その結果ヒロインの台詞が多くなるのだが、そこで本作のエロシーンにおける本気でエロいと感じて書いているのか、はたまた悪ノリギャグなのか判断がつかないような絶妙な台詞回しの数々がハマっており、いろんな意味で楽しめた。また、どこか打ち解けていない感じの口調の選び方とその演技がうまく、初対面の男性とのセックスであることをうまく演出していた。

シーン単位で見るなら、調教の終わりを告げる儀式としての意味合いを持つ処女喪失シーンの力の入れように注目したい。各ルート前半の調教パートでは最後まで挿入が出し惜しみされ、性感開発と奉仕指導をじっくりねっとり描くことでプレイヤーを焦らしまくる。そして、いよいよそこからの処女喪失! という流れはたまらなくエロかった。

恋泉天音金目鯛ぴんくの二者が務める絵に関しては質量共に文句なしの出来。特に差分枚数の多さが実現する動きの描写や表情の豊富さは台詞では表現しにくいところなので、ここでの頑張りもまたバルーンウィンドウモードの成功に貢献している。

また個人的なことなのだが、恋泉天音担当キャラの上唇を舐めるペロ顔はどツボもどツボ。これだけでご飯三杯イケるレベル。

キャラクターはエッチシーンのテーマを設定することで差別化していると前述したが、性格だけ見るとややツンが強い、強気系キャラが4人というのは偏り過ぎかなと感じた。「高貴で強気な女性が性奴に落ちる」ギャップを狙った布陣と理解はするものの、唯一のおっとりデレ系美少女の優莉が最萌えだった私からすると、刺のないキャラがもう1人いても良かったかも。

もう一つ数少ない欠点として、各ヒロイン同士の絡みが少ないことにも言及したい。つまりは「もうちょっと女多の複数プレイを見せろよ!」という心の叫びである。特に、せっかく堅物女教師である涼香先生がいながら、女学生である他ヒロインたちとの肉体的絡みが一切ないのは勿体なさすぎた。そこだけは本当に残念。

しかし、公式サイトで「この夏、世界でいちばん抜けるエロゲー」と豪語しているだけのことはある。過激な描写に傾倒するのではなく、調教・売春というシチュエーションのエロさをとことん突き詰めて描くことで、そんじょそこらの娼婦なら全裸で逃げ出すような大傑作に仕上げられているように感じた。

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