『王国強制・性辱王女』レビュー

"オーク輪姦のヤリ過ぎ具合だけは評価したい"

王国強制・性辱王女

王国強制・性辱王女

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レッドレーベル (2010-07-23)
点数ブランドプレイ時間
15点Red Label約5時間
シナリオ
非公開
原画
久遠路火鷹
紹介サイト
王国強制性辱王女
備考
 

いきなりだが大雑把に本作の概要を説明する。女性が統治する女系優遇の国家を舞台に、切れ者の主人公の謀略によって抑圧された男たちが暴走し、高貴な女を調教・輪姦する陵辱ファンタジーそんな手垢のついた題材に取り組んだ、3000円帯の低価格ソフトである。

「手垢のついた」と言えども、まだまだ私のようにそのような物語を欲しているユーザーもいるので、それを手に取りやすい低価格帯での小規模作品として制作することは良いだろう。しかし、残念ながらあらゆる要素が杜撰に作られている。

まずはテキスト。「ファンタジー世界で高貴な女を犯す!」という欲望に応えた作品であるのに、ファンタジー世界の描写がいい加減なために世界観の強度が弱い。例えば通りかかりの女兵士に「めちゃ権力強いらしいわね」という台詞を喋らせるのだが、この手の現代語は本作の世界観、ひいては作品全体の雰囲気に合わない。結果、「ファンタジー世界」という本作のセールスポイントを自ら潰してしまっている。

そこに目を瞑るとしても、そもそも本作のテキストは明らかに素人によって書かれているとしか思えない程に粗だらけ。句読点の使い方がいい加減で読みづらく、男性キャラクターに「貴女たち」と話しかける様にげんなりし、「こんばんわ」という挨拶に思わず噴飯する。

終いにはどこにもシナリオライターがクレジットされていない。素人バレバレなテキストを書いておきながら、誰もその責任を負う気がない。これはもう論外としか言い様がない。

テキストが話にならない一方で、画面演出にはそこそこ力を入れている。背景の動きと効果音だけでシーンを理解させようとしており、テキストで説明し過ぎないようにしている点は好感が持てる。例えば次々と移り変わる背景と剣戟の効果音で戦場を想起させたり、静止した背景と喘ぎボイスを数秒流すことでスムーズに事後のシーンへと導入したりなどと目を引くところもある。

エロシーンにおいても、ムチ打ちや殴打など、出血しない程度にハードな描写もあり、求められているものを意識しているように思う。嫌がりながらも膣内射精された際に思わず感謝の言葉を漏らしてしまうというシチュエーションでは、台詞の工夫で長時間の輪姦と暴行の様を臭わせており特に巧いと思った。

しかし、そんな演出を下支えする効果音が全体的に低クオリティなのが惜しい。特にプレイ中たくさん聞くこととなる挿入時の音が、膣に男性器を挿すというよりも、腹に刃物を刺すといった感じのエグいもので最後まで慣れることはなかった。民衆のざわめきや嘲笑の音声も明らかにシーンにそぐわないものを使っており、ない方がマシという場面も多い。

絵に関してはやや不安定な感は否めない。輪姦もので重要になる汁描写も、ベタ塗りで違和感のあるものが多く残念。

最後にシステム面。まず失笑を禁じえない点として、セーブ&ロード画面の「戻る」ボタンを押しても戻らないという杜撰さ。他、テキストウィンドウを非表示にするショートカットキーがなく、小さなボタンをクリックするしかないのもストレス。スキップしても飛ばせない7秒ほどのアイキャッチも度々挿入されてウザい。

以上より、輪姦を求めて購入したにも関わらず、30を超えるエロシーン数(CGの使い回しも多いが)の割にはさっぱり抜けないという残念な結果に。なまじ序盤は先述のように好感触な演出で魅せてくれただけに、以降の失速具合に脱力しっぱなしだった。

低価格の小規模作品だからこそ、最後まで粗を隠し通して欲しいというのは果たして高望みし過ぎなのだろうか。私はそうは思わない。

……この手のゲームだから脚本にツッコミを入れるのは野暮というものだけど最後に一つ。途中、性奴隷となった王女を救うべくシスターが主人公と接触し、思わせぶりな台詞を吐いて王女の救出を宣言するのだが、その手段がただの説得という考えなしさにはズッコケた。

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