ファースト・インプレッション – 『凍京NECRO<トウキョウ・ネクロ>』をプレイ その1
3DCG作成の低コスト化が進む。
長年商業エロゲ界隈ではイリュージョンが中心となって展開してきた3DCGエロゲーという挑戦も多様化し始めている印象だ。
まだ3DCGエロゲーの流行は入り口を潜ってすぐの段階かも知れないが、『凍京NECRO<トウキョウ・ネクロ>』のその3DCG使いはエンタメ系を志向する3DCGエロゲーの手本になるような気がする。
……まだ一時間しかプレイしていないけどな!
ことの始まり
『凍京NECRO<トウキョウ・ネクロ>』をプレイ開始。
事前情報の時点で気が狂うくらいに大ハマリしたニトロプラスの前作『君と彼女と彼女の恋。』とは異なり、今回はあまり前情報を入れずにとりあえず二トロ新作だからと購入。
脚本:下倉バイオ、原画:大崎シンヤのコンビと言えば忘れてはならない『月光のカルネヴァーレ』も大好きな一作だ。
今思うと、『月光のカルネヴァーレ』のどこが好きかといえばそれは3DCGで作られた背景と、そこにビシっと違和感なく絵として収まる大崎シンヤのキャラクターというビジュアルだった。
加えて、そんなビジュアルに似あった人狼マフィアのゴシック・ノワールというエンタメここに極まれりと言わんばかりの世界観だった。
あれから9年(9年!)。『凍京NECRO<トウキョウ・ネクロ>』は『月光のカルネヴァーレ』から技術的に大きな飛躍を見せる。
……少なくとも、OPムービーが流れるまでの開始一時間に関しては。
ディストピアチックな未来の東京を舞台にアンデッド共を二丁拳銃とチェーンソーでぶっ殺しまくるのは楽しい
冒頭の掴み部分。2199年の東京ならぬ凍京・歌舞伎町の娼館を舞台に、主人公とヒロインの二人組が派手な大立ち回りでアンデッド共を二丁拳銃とチェーンソーで惨殺するシーンを持ってきた。
この冒頭で誰もが目を奪われるであろう、とにかく3DCGが動く、動く!
それも「立ち絵がアニメーションしまーす」という次元じゃない。
「画面=主人公の視点」というノベルゲームの特性も活かし、派手なアクションでは画面そのものがFPSゲームのようにグルンと回る。
主人公はエクスブレインというヘルメット型のデバイスからAR(拡張現実)的な情報補助を受けて闘うため、画面上には様々な情報が表示される。
この「画面=主人公の視点」+ARデバイスによる情報付加という画面構成でバトルするエロゲーといえば『星逢のプリズムギア』を思い起こされたりする。
戦闘シーンでは「テキスト表示 → 画面のアニメーション → テキスト表示」という繰り返しにより、動的な視覚情報をテキストが補完する形で、情報密度が極めて高い戦闘描写を組み立てている。
特に、派手な動きのアクションアニメーションの際にはここぞという所でモーションがスロー → ストップして、テキストが表示される。この辺りの見せ方は映画『300 <スリーハンドレッド> 』を意識した感じでカッコイイ。
テキストでは膨大な造語・専門用語を並び立てることでSFマインドをくすぐってくる。しかもその一つ一つをクリックすると用語説明が表示される。
この膨大な「新しい情報」を産み出すソースは、本作のエンタメここに極まれりと言わんばかりの世界観だ。
- 『未来世紀ブラジル』を想起させる街中にパイプが張り巡らせた凍京という世界設定。
- 多勢で襲い掛かってくるアンデッド共。
- それを皆殺しにする二丁拳銃&チェーンソー。
どれだけボンクラなんだよと言わんばかりのオタク的センスの釣瓶撃ち、おいらの気分はノリノリである。
何はともあれまだプレイ開始一時間だ。
3DCGアニメーションを活かしたバトル演出。
魅力的な要素を詰め込み過ぎてる世界観。
ゲーム起動時や場面転換での意味深な演出の数々。
この三点をプレイヤーにドカンと提示してからの、OPムービーでは小野正利の熱い歌声が響く。
楽しいに決まってんだろ!
ということで、身を引き締めて続きを楽しむ所存である。