4つのオープニングを堪能 – 『まいてつ』をプレイ1

はじめに

ということで、私の雑感を添えつつ実際に並べてみる試み。
先日投稿した『まいてつ』レビューではボリュームの関係で触れるだけに留めたそのディテールが、この記事で伝わってくれれば幸いです。

ハチロクルート

上のツイートでは「オーソドックス」と形容しています。サブヒロイン含め、順番にヒロインを表示していく形式。サビでスタッフクレジットをそっと出す感じもよく見るポイント。
流行に左右されにくい作りですよね。楽曲も作品雰囲気に沿ったもので、センターヒロイン=作品の顔であるハチロクルートのオープニングとして堅実な作りではないでしょうか。

ポーレットルート

ハチロク、日々姫のオープニングと比較して、ゼロ年代っぽさを感じる素朴なテキスト演出で魅せるエモいタイプです。

「力強く回る車輪 鳴り響く汽笛 流れ行く白煙 そして——乗客の笑顔」
「鉄道を、そしてこの街を救うために、今走り出す——」
「立ちはだかる障害は無数にある。それでも一つづつ乗り越えていけば——」
「浅ましくとも、見苦しくとも、終着駅に——かならず僕らは、辿り着くのだ」

これらのダッシュ記号の多用もエモくて最高。
ヒロイン紹介もメインの3人に絞り、スタッフクレジットも無し。情報量を削ってユーザーに物語への予感を抱かせることに徹した演出だと思います。
個人的な好みなんですが、短いカットで次々と作品背景を映し出す演出、好きです。

日々姫ルート

先の2つとは異なり、完全に日々姫ルート専用感が出ているオープニングにして、ぶっちぎりでカラフルかつアニメーション多用。派手に仕上がっています。
そんな中、よりによって地味なポイントなんですが、ハチロクからポーレットへの敬礼つなぎの部分が好きです。
日々姫が絵を描く人、デザインをする人というキャラクター性を持つため、それに寄せた感じになっていますね。

グランドルート

最後はグランドルートになるわけですが、こいつはこれまでの3つとも、さらに言えば他の多くのエロゲのオープニングとも一味違います。
何と言ってもムービーなし。なのにオープニング?

いえいえ、ここで言及しているオープニングとは、何もムービーのことだけを指すわけではありません。
始まりを告げるサイン。それこそがオープニングなのです。

グランドOPと表記される楽曲「未来行き☆列車」は、グランドルート内では流れません。
じゃあどこで流れるのかというと、グランドルートのエンディング後、タイトル画面で流れる曲となっています。

ちゃんとグランドルートのエンディングで流れるグランドEDの「ナインスターズ」では次のような歌詞が歌われています

終着駅はゴールじゃないよ
次の夢へ向かう スタートになるから

『まいてつ』最後のルートにおいて、これがゴールなのではなく、スタートなのだと歌うのです。
このグランドルートのエンディングのさらに後に流れる「未来行き☆列車」は、『まいてつ』という作品世界の、あるいは『まいてつ』という作品を攻略したばかりのプレイヤーの、未来の始まりを告げるサイン——「出発進行!」の掛け声なのだと私は解釈しました。

そういう意味で、個人的にはこのグランドルートこそがベスト・オブ・『まいてつ』オープニングなのです。

攻略直後のツイートの「満足」は、この完璧なエンディング=オープニング構造から思わず漏れ出たものなのでした。

まいてつ 第3刷

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