全ての主人公で一周目を攻略完了 – 『珊海王の円環』をプレイ その2
『珊海王の円環』、全ての主人公で一周目を攻略し終わりました。
約40時間。長かった。
現在はボチボチと二周目を開始し、ひとつのシナリオ当たり大体2時間もあれば攻略できることを確認。ようやく終わりが見えてきました。
さて、終わりが見えてきたので、レビューを書く前に細かいポイントを掘り下げておきましょうということで本記事を書きます。
ここで書いたことがそのままレビューに流用されることもあるでしょう。これを読めばだいたいどれくらいの点数が付くかなども予想がつくかもしれません。
一応未プレイの方のために。
本作における「円環」とは、6つ集めることで何でも願いを叶えてくれる珊海王への謁見が許されるという特別な「指輪」のことです。
あくまで厨二的な当て字であり、「円環の理」などとは一切関係ありません。念のため。
戦闘システムについて
前回の記事では戦闘システムについては逃げたので、今回は直視します。頑張ります。
本作は領地を取り合うゲームなので、すでに軍隊が存在する領地に他のプレイヤーの軍隊が攻め込んできたときに戦闘が発生します。
本作の戦闘はセミオートで進行。フィールド上をちびユニットがちょこちょこと自動で動き(かわいい)、敵ユニットを補足し、倒すか逃げるかするまで攻撃を繰り返します。最終的に全滅させたほうが勝利となります。
従って、戦闘を始める直前の準備が大切。
ユニットのレベル・属性を確認して有利かどうかを見極め、戦闘開始時の陣形(実はこれが最も重要)を選択し、戦闘パートが始まります。
もちろん、戦闘パートではプレイヤーにも勝負の行方に介入する手段があり、それが以下の三つになります。
- フィールド上をクリックすることで味方ユニットを弾くことができる。
- 特定のユニットを選択し、攻撃をやめさせて任意の地点への移動を指示できる。
- 様々な効果を持つ円環魔法でサポートすることができる。
特に三番の円環魔法は選択した主人公ごとにその内容も変わり、戦況を大きく変えうる力を持ちます。
味方ユニットの能力を上げる、指定した範囲内の敵ユニットにダメージを与える、ユニットを任意の位置へ瞬間移動させる、フィールド上に一定時間だけ壁を作る……。
様々な種類の円環魔法があるが、一度の戦闘に持ち込める魔法は5種類。それぞれコストがあり、プレイヤーの魔力の枠内で任意のタイミングに発動させることが出来ます。
例えば、全主人公とも魔力の初期値は5であり、敵の魔法の影響を一定時間防ぐ「環魔結界」は魔力を2消費します。
このとき残り魔力は3となるため、次にまた敵の魔法を防ぐために「環魔結界」を使うか、はたまた魔力消費が3以下の別の魔法を使うか……といった判断が重要になってきます。
また、バフ/デバフ系†01の魔法は一つのユニットに対して一つしかかからず、後からかけられたものが優先されるため、例えば敵に強力なデバフ魔法をかけられた時はその上からバフ魔法をかけるなどして対処することも重要になります。
以上のような戦闘を繰り返すことで、他勢力の領土を奪い、船に対してダメージを与えることが出来ます。
複数シナリオについて
本作は6人の登場人物による円環の争奪戦です。
プレイヤーはゲーム開始時にこの6人の登場人物から一人を選択します。
各キャラクターごとにエンディングは2つ。
つまり、オマケを除く全てのエンディングを見るためには12周プレイする必要があります。
ここでは各主人公毎の二周目については触れず、6人の主人公でそれぞれ始めからプレイする必要があるという点に絞って述べます。
周回特典無しの「はじめから」を6回ともなると、よほどそれぞれの主人公ごとに戦略やゲーム展開が変わってこなければ、後でプレイするシナリオほどゲーム体験†02がマンネリ化してしまいます。
そこで本作では正統派海賊や魔族、戦闘力の低い領主や、倒した敵を眷属にできる吸血鬼など、しっかりと主人公を勢力ごとに個性をつけて対応しようとしています。
更に、円環魔法も主人公固有のものを一つ用意することで差別化を図っています。
ところがどっこい、マンネリ化します。それも相当に。
各キャラクターごとに差別化をしようとしていることは認めるものの、各キャラクターごとにゲーム体験が変化するほどのインパクトはありません。
その理由は、結局はどのシナリオも「目的が同じ」であり、更に「目的を果たすための手段が同じ」だからかと思われます。
本作は6人の登場人物による円環の争奪戦です。
各キャラクターごとに円環を集める理由は異なりますが、最終的な目的は「6つの円環を集めて珊海王に会う」ということで一致します。
従って、各シナリオともゲーム体験の大枠は似通ったものになってしまっています。
その似通った結果が、「目的を果たすための手段が同じ」に繋がります。
つまりは領地を広げて、持久力を蓄え、それぞれの勢力を一つずつ相手取って砲撃戦を仕掛けて支配力を削り、殲滅していく。この流れは不変です。
ストーリー的には倒した相手を仲間に加えたり、処刑したり、恨みを売って復讐されたりしますが、大枠のゲーム性としてはまさに繰り返しです。
特に、6つの円環を集めてから珊海王に会うまでのゲーム展開はほとんど一致します。フィールドも一緒、出てくるボスも出現タイミングも一緒!
毎周、この終盤30分が本当につらい。一周目ですら一本道で退屈だったのに、どのルートもそれが変わらないことに気づいた時の絶望たるや。
前回の記事で述べたとおり、一周プレイする中でも後半へ進むに連れてやることが減ってどんどんつまらなくなっていくという問題を抱えていたのに、それが複数シナリオに跨って後からプレイしたシナリオほどどんどん、どんどんとつまらなくなっていきます。
つまらなスパイラルです。
そりゃあもう、最後の6人目にもなるとプレイヤーの側から積極的にモチベーションを探していかないとやってられないってお話ですよ。
『珊海王の円環』、アニエスシナリオ攻略中。最大難易度ではあるが、やることは他のシナリオとそう変わらないのでやっぱり辛い。が、モブユニットのエルフちゃんの声が羽鳥空なのでそれだけをモチベーションにやれてる。
— こーしんりょー@SpiSignal (@KO_SHIN_RYO) 2016年5月7日
そして再び戦闘システムについて
複数シナリオの大枠が繰り返しになってしまっているとなると、最後の希望は戦闘システムに残されます。
つまりは、大枠が同じでもその中の小さなファクターがきちんと差別化されており、それぞれ新鮮に遊べるのであればまだ何とか救われます。
救われませんでした。
まず、ここでもやはり差別化の努力が足りません。
加えて、3,4周ほどプレイしていれば戦闘パートの戦略も効率化されていき、数少ない主人公ごとの差別化要素はその効率化の中に吸収され、結局戦闘パートでの動き方にほとんど変化がなくなっていきました。
まず戦闘パートの準備段階として、レベルと属性をチェックします。
属性の中でも大事なのは「部隊人数」。9人部隊は3人部隊に強く、3人部隊は1人部隊に強く、1人部隊は9人部隊に強い。三すくみとなっています。
しかし、各勢力ごとに偏りはあるものの、結局は戦況に影響の大きな属性である9/3/1人部隊をどの勢力もすべて保持しているためここに違いは産まれません。
そして属性以上に勝負を左右する陣形。
相手の陣形に対して有利な陣形で戦闘を始めることができれば、それだけで数レベルの差が埋めることができてしまうほどに影響の大きな要素です。
しかし、こちらについては全ての主人公が使える「動静偵察」という策略スキルを用いることで敵の陣形を筒抜けにすることができます。
せめて主人公によっては「動静偵察」が使えなかったり、使用コストが法外に大きかったり、または逆に「動静偵察」が効かない勢力が存在するなどの差別化がなければ、とりあえず「動静偵察」という戦略はどのシナリオでも有効過ぎて使わない手はありません。
円環魔法の差別化については、その対処方法の選択肢が少なすぎるためにほとんど意味のないものになってしまっています。
攻撃系の円環魔法については敵の魔法効果を無効化する「環魔結界」が安定。ただ、準備時間の長い魔法ならばユニットを移動させることで避けることも視野に入る。
それ以上に問題なのがバフ/デバフ系の円環魔法。こちらについては即座に別のバフ/デバフをかけることで打ち消すことが安定行動過ぎて他の選択肢がありません。
その結果、どの主人公勢力においても「魔法発動は敵の動きを見てから」†03を基本セオリーとして似たような戦い方になってしまいます。
最後にちょっとだけ褒めとこう
前回の記事でストーリーが全体的に厳しいことを述べましたが、私が4番目にプレイした領主ボルハ・ロヘルのロウシナリオは凄く良かったです。
『珊海王の円環』、ボルハ・ロヘルのロウシナリオ攻略。このシナリオは良かった! 部下から全く尊敬されていない強欲でマヌケな、だけど強運だけでうっかり伝説的存在まで上り詰めちゃった感が全編通してコミカルで笑えた。ゲーム性はもう飽きた。
— こーしんりょー@SpiSignal (@KO_SHIN_RYO) 2016年5月5日
ちょっとテンションが昂ぶってて日本語がおかしいですが、だいたいこのツイートの通り。
とにかく主人公のボルハ・ロヘルとその部下のオイエルの掛け合いが気持ちいい。
まさに「無能な上司と苦労する部下」。会話の節々に現れるオイエルの本音が笑えました。この小さなエピソードのそれぞれにユーモアを効かせている点はゲーム性とも合っていました。
この汚っさんとおじさんの2人の珍道中ならばあと二時間くらいは見ていられそうです。
加えてオチが最高。その他の真面目ぶったシナリオの反動か、いい感じにふざけた幕引きで読了感もグッドでした。
逆に、真面目ぶってる上にオイエルのような相棒となるキャラクターもおらず、ずっと独り言をし続けているアニエスのストーリーは最悪の無類だと思いました(褒めてない)。
脚注