『妹スパイラル』レビュー
by こーしんりょー · 公開済み · 最終更新
"ただの妹には興味ありません"
点数 | ブランド | プレイ時間 |
80点 | まかろんソフト | 約30時間 |
シナリオ | ||
海原楓太、鯉川こい、皆川一馬 | ||
原画 | ||
雛祭桃子 | ||
紹介サイト | ||
まかろんソフト 妹スパイラル公式サイト | ||
備考 | ||
この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、お兄ちゃんのところに来なさい。以上。
で、本当に来ちゃったのがこちらのゲーム『妹スパイラル』。
主人公・妹尾聖司が幼き頃に離ればなれとなった妹と再会する日から物語は始まる。主人公の元に集った妹は1人ではなくなんと5人。しかも彼女たちはそれぞれ異なるパラレルワールドにおける聖司の妹だと言いはり、それを裏付けるように未来テクノロジーを駆使したり、また超能力を操ったりといったトンデモパワーを披露する。
宇宙からやって来たという妹がこの情況を説明するに、あるアクシデントを切っ掛けにそれぞれのパラレルワールドが一つにくっついてしまう次元融合が主人公を中心に生じているという。また各次元どうしの衝突により【次元のひずみ】が発生し、それを原因に宇宙が対消滅してしまう危機に直面しているとも。
では一体どうすれば次元融合を回避し、世界を、そして宇宙を救えるか。その鍵となるのは【愛のパワー】。次元融合の特異点である主人公と、それぞれの世界の接点である妹との気持ちの強さから生じるエネルギーこそが、世界を元の姿に戻す力となるのだ。つまり、ひとりの妹を選び恋人となってセックスすればいい! そうだこれエロゲーだった!!!
以上のような複雑な物語設定は、恐らく某有名ライトノベルを元ネタとした悪ふざけという面もあるだろうが、一方それでも他のエロゲーではなかなか語りえない一風変わった物語とテーマの提示が成されており、そこがなかなか新鮮だった。
まず兄妹間で記憶や経験のギャップがあるという設定に惹かれた。主人公は異世界の記憶が無いために妹たちのことをとんと知らないが、逆に妹たちは「お兄ちゃん」である主人公との経験を記憶として持っている。
この設定には兄妹間のギャップに登場人物たちがヤキモキするといった物語の推進力としての効果はもちろん、主人公が見ず知らずの女の子を次第に「妹」だと確信していくという他ではあまり見ることのないストーリー展開の起点となっている。そこから「妹とはなんなのか」を考えてみるのも一興だろう。
もちろん全く異なる世界から集結した妹たちという「なんでもあり」感はハイテンションコメディの基盤にもなっている。超能力やら魔法やら、ビックリドッキリメカの数々に、果ては「なんでもあり」の体現者たる宇宙人なんかが我々の愛する一般常識を侵食していく様は単純に楽しい。立ち絵演出が冴えていることもあり終始笑えた。
この「なんでもあり」要素に関しては特にエッチシーンでの遊びっぷりにて真に輝く。ここでは詳述しないが、公式サイトのギャラリーを覗けばそのぶっ飛び具合の片鱗を垣間見れることだろう。
そんな舞台設定の上で本作の面白さを確かなものとしているのは、やはり妹たち(そしてマスコットである妖精さん)の魅力が傑出しているという点が決め手だろう。
個人的にはセックスの意味すら分からず「うん、お兄ちゃんとせっくすしたーい☆」と全国のお兄ちゃんを犯罪者へと堕落させる純真無垢さを炸裂する小リス系魔法使い妹・妹尾凛火と、「だいたいお兄ちゃん、妹とセックスしたいと思わないんですか? 異常です」を筆頭とした名言生産マシーンたる触手系宇宙人妹・妹尾千風悠の二人に特に萌え狂わされた。
とは言うものの妹尾シスターズ5人の内からただ1人を選べとなると、消去法が採用できぬと嘆いてしまうくらいにハズレヒロインが存在しない。全ヒロインが心底大好きになれたエロゲーこそ真に貴重であることを再確認させられた次第である。もちろん全員が妹という共通属性を備えているために刺さりやすかったという事情もあるだろうが……。
そんな愛らしい妹たちが歌うOP曲『妹!絶対SAY☆理論』の中毒性はバツグン。「だってお兄ちゃんはね 私たちのお兄ちゃんだもん」というなにか言ってそうでなにも言っていない歌詞から溢れる、お兄ちゃんというだけで無条件で好きになっちゃう妹たちの圧倒的な無邪気さにやられた。
他には制作側が誰か一人に贔屓することなく、全員をほとんど平等に扱っている点に好感を持った。作中のエッチシーン数はもちろん、一枚絵の枚数まで全員きっちり揃えられている。
また個別ルートに入っても他ヒロインがフェードアウトすることなく、ほとんどラスト付近まである程度の活躍が用意されているのも嬉しい。兄を含めた妹尾ファミリーとして、次元融合という大問題にぶつかるチームプレイ感も本作脚本の魅力だろう。
そんな本作の数少ない欠点として、いわゆるXERO系列ブランドの御多分に洩れずディスクレス起動不可という点が挙げられる。これは会社の方針として仕方がないとユーザー側が汲んでやるしかない。またこれは個人的な趣味の問題かもしれないが、その……おっぱいの描き方が、ちょっといまいち。
とは言え複雑カオスな設定を基礎におバカハイテンションコメディをブチかましつつ、可愛い妹たちと(本当の意味で)所構わずエッチしまくり、イチャイチャしまくりでお兄ちゃんは大満足。妹螺旋をぐるぐる駆け上がり、大気圏を突破した暁にはこう叫びたいものだ。
宇宙よ、これが妹だ!
【積みゲー崩し日記リンク】
- 積みゲー崩し日記『妹スパイラル』その1(前ブログ)
- 飛ばせないOP。第一印象。五者択一。荒唐無稽なエッチシーン。
- 積みゲー崩し日記『妹スパイラル』その2(前ブログ)
- 兄の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて千風悠を愛するようになったか。