ファーストインプレッション – 『青春フラジャイル』をプレイ その1

はじめに

というわけで初めてプレイするパープル作品は『青春フラジャイル』となった。

実は『明日の君と逢うために』『ハピメア』といったヒット作は新品で購入していたりするのだが、不精者ゆえ、これまでインストールもせずに押し入れに眠らせたまま2020年に至ってしまった。
私事であるが、数年ほど前に帰省した折に久々に会った友人がすっかりパープルファンになっており、その際もやれやれと押しに押されたことを思い出す。重ね重ね申し訳ない気持ちである。

老害エロゲーマーとしてはどうしてもゼロ年代の、ビジュアル面には力が入っているがシナリオ面で当たり外れの激しいというブランドイメージが強く、それが実際にインストールしてプレイするに至るまでのハードルを上げていたように思う。
しかし、2010年代に入ると今作でもキャラクターデザイン・原画を務めているさんが初参加した『未来ノスタルジア』あたりから世評の高い作品を連発し、2002年にデビューした古参ながら気がつけば若いファンが沢山ついて新陳代謝に成功した数少ないエロゲーブランドとして存在感を高めてきた。

だからタイミングが噛み合えば新作をプレイしようと、それこそ『ハピメア』の頃から狙っていたのである。に、2013年……?

何はともあれそんなパープル童貞を卒業したということで、共通ルート終了時点まで進めた『青春フラジャイル』の第一印象を記録しよう。

ファーストインプレッション

共通ルートはスローペースでちょい緩め

攻略対象ヒロインは四人。
他称ツンデレ幼馴染の桜宮 氷緒、家の都合で妹分的関係の卯月 透音、そして何やらただならぬ因縁が見え隠れする主人公のストーカー鳥羽 せつな
そこにブリテンからやって来たという遠い親戚のリズ・メイサースが加わって、派手とも地味とも言えない学園生活が繰り広げられる。

ストーリーの鍵を握るギミックとして魔法使い設定が導入されている。
この世界では魔法の存在は世間一般には隠匿されており、主人公である士紀 優人も魔法使いの一族の生まれであるが、そのことはひとつ屋根の下でともに暮らす透音にすら内緒。
そこにいかにも口の軽そうな魔法使いであるリズが転がり込んできたからさあ大変。この設定から魔法使いであることを何とか隠し通さなければならないというミッションと、カルチャーギャップからなるコメディが生じるといったところが序盤の作りである。

とはいえ共通ルートではここから大きくストーリーが動くということはなく、今後深く関わってくるだろう「わるいまほうつかい」の存在を臭わせるなど個別ルートへの布石を打つに留めて、楽しい学園生活を通じたヒロインたちの紹介と交流をメインに進むパートであった。

ディスり合う甘噛み関係が楽しい

そんな中、もともと主人公と関わりの深い前者三人(およびサブキャラたち)はゲーム開始時点ですでに気心の知れた間柄で、結構際どいネタやツッコミを入れ合うような関係。
そんな彼らのやり取りに対して怪しい日本語を操る新顔のリズが「ディス」という概念を当てはめる。

以降けっこうな頻度で「ディス」という単語がキャラクターのセリフで用いられるが、ここで言う「ディス」とは言うなれば甘噛み行為を指す。つまりはじゃれ合いだ。
美少女コンテンツらしくちょっと性的に接近したりもするこのじゃれ合い関係の楽しさで常時ヒロインの魅力を引き立てつつ物語を繋げている印象だ。この辺りの掛け合いのバランス感覚は悪くない出来である。

少々特殊なテキスト表示形式の狙い

演出について、これはプレイする以前からSNSで流れてくるスクショなどで知っていたことだが近年のパープル作品のテキスト表示形式は少々特殊で、テキストウインドウがセリフを喋るキャラクターの顔の下に表示されるのだ。

テーブルや椅子と重ねて座っている様子を表現するなど立ち絵芸も手が込んでいる。

実際に体験してみるとキャラクター毎にフォントカラーを変えたりセリフの長さに応じてウインドウサイズを伸縮させたりといったようにプレイヤーを混乱させないための細やかな工夫が見られる。

この表示形式の狙いはプレイヤーの視線をキャラクターの立ち絵に誘導させることだろうと推察する。
画面下部にテキストウインドウを固定させた状態でキャラの立ち絵、特に表情を細かく演技させるとプレイヤーとしては視線の置き所に困ってしまうからだ。

この問題を解消するために用いられるもっともメジャーな形式は、テキストウインドウの左側に立ち絵のバストアップを表示するものだろう。
オーガストやゆずソフトといった最大手の人気ブランドも基本はこの形式を採用している。しかし、同じ立ち絵画像を画面にダブらせて表示させるというのも意図あってのものであるとは理解できるものの、画面設計的には不自然でスマートでないという見方もできる。

対してパープルはテキストウィンドウ自体をキャラクターの顔に近づけることで表情の演技とテキストとを無理なく同時に視界に収められるようにしているわけだ。
しかもウインドウの位置でどのキャラクターのセリフかが視覚的に把握できるため、ウインドウ内からはキャラクター名すらも省いて情報量を刈り込んでいる。

この形式のデメリットとして立ち絵(特に肝心要なおっぱい周り)がウインドウに隠れてしまうといったことが考えられるが、それを受け入れてでも立ち絵の演技に集中させたいということだろう。ブランドのこだわりとして注目したいポイントである。

おわりに

このたびパープル童貞は卒業したが、俺にはまだサガプラ童貞にぱれっと童貞、まどそふと童貞など、まだまだ卒業しがいのある童貞が残っているのだ。

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